負けてたまるか!? 柳家喬の字 vs 立川談吉@道楽亭

2013/11/07(木)19:00 道楽亭

「天狗裁き」柳家喬の字
「よかちょろ」立川談吉
(仲入り)
「孝行糖」立川談吉
「幾代餅」柳家喬の字

 前日に続き楽しい会でした。

 始めて拝見した喬の字さん。滑り出しは慣れない場と客の様子見だったのか静かな調子でしたが,次第にちょいちょい毒を吐きつつも,師匠の雰囲気も漂わせてしっかりと聞かせる。

 私にとっては一月ぶりの談吉さん。喉の調子も良さそうで気持ちよく「よかちょろ」。

 仲入りを挟んで,談吉さん二席目の「孝行糖」も良い調子。仕込み忘れがあったが自ら気づいて修正。
 あの気持ちの良いリズムの外し方は天性のものだな。

 談吉さんが二席目から下がる時に,前日のこはるさんと同じうっかりミス。更に雪駄もアレだったもので,喬の字さんからまんまと突っ込まれる。

 喬の字さんの「幾代餅」。師匠さん喬さん風なのか,さらっと良い感じ。未だ生で拝見したことの無い師匠の高座も是非観たいと思う。

 さて喬の字さん。初っ端のまくらで「打ち上げは柳家と立川についての討論を」などと振り,理屈っぽい人なのかと思いきや,いざ打ち上げになると,落語界に絡めた態を装いつつ,プロレスやテレビドラマの話で自ら盛り上がる。いや,逆なのか?プロレスの話の態で落語界を切っていたのか……。

 何にしても談吉さんの声が直っていたので安心。冬に向かって一層ご自愛のほどを。

※この日のサプライズは客席。
 芸協のホープKMさんの会の掛け声でおなじみのTさん。人呼んで「戸越銀座おじさん」が私の後ろに座っていた。前日同じ場所で78回目の掛け声を聞いたばかり。
 この日KMさんは別の会に出演のはず?と訝っていると喬の字さんに対して「いわつきねぎたいし!(記憶があやふや)」の掛け声。後で伺うと,この掛け声は二回目だとか。
 KMさんから乗換えかと思いきや,ちゃんとそちらにも声を掛けてから来たらしい。大変だなぁ。

負けてたまるか!?こはる VS 宮治@道楽亭

2013/11/06(水)19:00 道楽亭

「ぞろぞろ」桂宮治
「寿限無」立川こはる
(仲入り)
「素人義太夫」立川こはる
「阿武松」桂宮治

 宮治さんの「ぞろぞろ」を受けて「学校寄席のために覚えたんだろ」と揶揄しつつ,自分もそのために覚えたという「寿限無」を演るこはるさん。「寿限無」が面白いって,ちょっと新鮮。
 前半は手を抜いた……ではないな,肩の力の抜けた軽い雰囲気で終了。

 仲入り明けのこはるさん。某所で某師とのニアミスを逃れるために,壊れた雪駄を持って黒足袋で走ったという話。この日も雪駄は壊れたまま。
 「素人義太夫」(寝床)で蔵の窓から義太夫を吹き込むというくだりを実際に聞いたのは初めて。

 さて,こはるさんが下がる際に些細なうっかりミス。続いて最前列にいた一人のお客さんが退席。
 これを受けて高座上がった宮治さんが,ここぞとばかりに毒づいてみせる一幕あり。

 風邪で少し声の調子が良くなかった宮治さん。「阿武松」熱演中に目が潤んでいて熱でもあるのかと思っていたら,どうやら感情移入し過ぎて自ら感極まったらしい。
 打ち上げで「あれが人情話?」などとくさしましたが,実のところ私もちょっとグッと来た。今度何処ぞで演るらしい「妾馬」が見ものです。宮治さんの落語で泣く日が来るのかね。

 ちなみに,途中退席したお客さんは,「阿武松」が終わった後に一旦戻られて,こはるさんに何やら渡してお帰りになりました。どうやら,こはるさんのために雪駄を買ってきたらしい。<未確認

※「ぞろぞろ」というと,小学館「昭和の名人完結編15 林家正蔵(彦六)」付録CDに入っていた音源が大好き。かなり晩年の録音だと思うのですが,林家木久扇さんが演られるものまねそのままのナチュラルビブラートで,一般的な間の感覚を超越した棒読みっぽい語り口。初めて聴いたときは唖然としましたが,何故か繰り返して聴いてしまう。枯淡とはこういうことか。

笑福亭鶴瓶落語会@赤坂ACTシアター

2013/10/31(木)18:30

「鶴瓶噺」スタンディングでのトーク
「Chinge」
「オールウェイズお母ちゃんの笑顔」
(仲入り)
「死神」

 「Chinge」はトークとして聴いたことがあるような気もするが面白かった。この日の中では一番好き。

 「オールウェイズお母ちゃんの笑顔」もよかったのだけど,最後の盛り上がりで置き去りになってしまった。
 何となく想像していたオチの通りで,自分のことを重ねてジーンとなりつつあったのだけど,どこかで鶴瓶さんの話と私の気持ちが離れてしまったなぁ。

 仲入り後。この日のトリネタは「死神」。何年か前に,東京ポッド許可局でサンキュータツオさんが話していて,ズッと気になっていた。私の中で勝手に期待が高まっている。
 仲入り前より照明を落とした高座で,鶴瓶さんのメガネのフレームが時々キラッと光るのが気になる。
 呪文はよくあるパターンとは違うものだったが,呪文と聞いたとたんにMr.Childrenが浮かんだ。

 普通の死神と設定が大幅に変わっているのは知っていたが,漠然と想像していたのとは違っていた。
 サンキュータツオさんは「いい話」になっていると仰っていたが最後は切なかった。「オールウェイズ…」とは違う切なさ。で,私はこの種の切なさに弱いというか苦手なのです。

 とは言っても,この日の高座がつまらなかったとか不満だというわけではありません。妻も満足したようだし,誘った甲斐があった。

 鶴瓶さんは最後の挨拶で「落語ではないものにしていきたい」というような意味のことをおっしゃっていたなぁ。

 しかし,1,300席の会場がほぼ満席。しかも,4日連続。他の日も埋まっているのでしょう。全国区の売れっ子は凄いな。
 下世話な話,この日の料金は5,000円也。前々日には道楽亭で飲み放題料理付き打ち上げ3,000円込みの計5,000円で,演者に手が届く距離で落語を聴いたのだった。来週も道楽亭に行く。

負けてたまるか!? 春風亭ぴっかり☆ vs 桂宮治@道楽亭

2013/10/29(火)19:00 道楽亭

「やかん」春風亭ぴっかり☆
「明烏」桂宮治
(仲入り)
「暴れ牛奇譚(スペシャルエディション)」桂宮治
「元禄女太陽伝」春風亭ぴっかり☆

 二人でのオープニングトーク。例によって順番は決まっておらずジャンケン。一旦二人ともさがるかと思ったが,そのままぴっかり☆さんが残って高座へ。慌てて出囃子が流れるがタイミングが取れず変な感じ。

 「やかん」後半の講談調の部分を聴いていると,しっかりした技術をもっているなぁと改めて思うのだが,同時にその辺りをすっとばしていた晩年の家元の凄さを感じる。

 「明烏」はこってりたっぷり笑わせてくれる。こってり過ぎる程に。

 「暴れ牛奇譚」は当日電車の中で閃いたという思いつきを入れ,効果的に笑いに繋げていたが,そのためサゲに関してはオリジナルの浮遊感?みたいなものが薄れていた。もう少し練ってまた演りたいとおっしゃっていたが,サゲをどうするのか気になる。

 「元禄女太陽伝」は師匠小朝さんのネタのようですが,私は初めて聞いた話。
 「コハル」「マツノジョウ」の登場にザワザワしたのは私だけではないようですが,これは元々そういう名前の設定。

 ちなみに,ぴっかり☆さんがこの話を始めた時に,カーテンで仕切られただけの控え室から宮治さんのうめき声が聞こえたような気がした。終演後の打ち明け話では,事前にぴっかり☆さんのネタを確認したにもかかわらず,同じ廓話の「明烏」をうっかり演じてしまったとしきりに恐縮していた。
 ぴっかり☆さんが避けることも出来たのでしょうが,この辺りのしきたりや力関係はよく判らない。

 打ち上げは結構な人数が残り,ぎりぎり着座のセッティングでしたが,宮治さんはズッと立ちっぱなしでサービスしまくり。通風の痛みは治まっているようで一安心とはいえ,ご自愛ください。

第一回 こはるパラダイス築地編 第二夜「新作アラカルト」@ブディストホール

2013/10/08(火)19:00 ブディストホール

「ナースコール」
三題噺お題抽選
「饅頭こわい」(立川笑二)
(仲入り)
「タカハシ課長の七日間」(三題噺)
「トリ藝人伝」(ネタ卸し)
※番組表にあった「猫と金魚」は時間の都合で割愛。

 客は開場前に紙を渡され三題噺用の言葉を一つ書く。この中から「ナースコール」の後にこはるさんが無作為に三つの言葉を選ぶ。選ばれた言葉は「アップ・トゥー・ユー(up to you)」「女の色気」「ハロウィン」。

 話を作る間,笑二さんの「饅頭怖い」。この日一番安定感があり面白かったのはこれ。

 好みで言えば「ナースコール」も好きではないし,仕方が無いとは言え「三題噺」は完成度は低く,やや冗長。

 トリネタである「トリ藝人伝」はこはるさんとしては初?の自作の新作のネタおろし。
 こちらも完成度が高いとは言えず,やはり長い。

 もし,三日のなかでこの日だけを観たとすれば,ハズレと感じたかもしれない。でも,実はこの日がこの三日連続の会の眼目だったような気がする。

第一回 こはるパラダイス築地編 第一夜「威勢のいいはなし」@ブディストホール

2013/10/07(月)19:00 ブディストホール

「粗忽の釘」
「大工調べ」
(仲入り)
「三軒長屋」

 19:00開場の30分前に到着。整理番号は20番。結局,164席のブディストホールの半分以上は埋まっていたのかな。

 その昔このホールで独演会をやられていた,師匠である談春さんから,場所的に厳しいと言われたとのことですが,至近の職場に20歳から15年間通っていた私にとっては馴染みの場所。当時に比べればお洒落な店も増えているし,銀座からも近い。良い場所だと思うがな。
 これも師匠からの情報で楽屋に何やら出るとか出ないとかで,自宅に奉っている近所の神社のお札を持ってこようかと思ったが,本願寺に神社のお札では,別の争いが勃発するかと考えて止めたとのこと。本願寺で「パラダイス」と銘打っている段階で,もう何をか謂わんやとも思うのだけれど。

 いきなり出囃子を間違えるというハプニングから始まる。

 「粗忽の釘」「大工調べ」と大工続き。悪くは無いのだけど,しっくりこない。でも会場は受けているなぁ。

 仲入りでちょっとしたハプニング。これはしょうがないか。

 明けて「三軒長屋」は良かった。新しくなった歌舞伎座を眺めつつ有楽町駅まで歩く。

キクチがまいります・ゆる~い三人の落語会 Vol.1@駒込ソフィアザール・サロン

2013/10/06(日)14:00 3,000円(懇親会・軽食飲み物付き)
「トーク」(柳家ろべえ・瀧川鯉八・立川談吉+席亭)
「道潅」柳家ろべえ
「釜泥」立川談吉
(仲入り)
「暴れ牛奇譚」瀧川鯉八
「小言念仏」柳家ろべえ

ろべえさんと鯉八さんは初。

「暴れ牛奇譚」は先日宮治さんで聞いたが,本家鯉八さんの面白さは独特。
オチで不覚にも吹いた!