ボジョレー・ヌーボー其の弐

 特に予定もない休日だったのに,談志さん関連のニュースや特番の録画等を観てしまい,面打ち進まず。

 夜は雪見鍋でボジョレー。
 富士屋ホテルで一杯だけ大振りのグラスで飲んだものは悪くなかったので,解禁日のボジョレーがピンと来なかったのはグラスとのマッチングかと,3種類のグラスで飲み比べ。
 パーフェクションはシンプルな形で好きなのだけれど,ボウルが小さいのかも。今回のボジョレーとセット販売されていたステム無しのリーデルの方が全体に豊かに感じ,田崎さんデザインのグラスだとチョコレートの香りがたつ。
 などとゆっくり味わっていたのも始めのうちだけで,後半は「よってくだんのごとし」。

真夜中の散歩

 仕事の帰りに,某コンビニに予約していたもう一本のボジョレーヌーボーを受け取りに行く。

 扱う店舗が限られていて,自宅最寄り駅から徒歩圏内ではあるけれど,思っていたよりは遥かに遠く,日付を跨いで一時間以上の真夜中の散歩。

 東京ポッド許可局で,立川談志さんの回から,志らのさん,小朝さんの回を聞きながら。

だんしがしんだ(外伝)

 勤務先の近くに演歌と落語専門のCDショップがある。

 昼休みに通りかかると,案の定,店頭のワゴンで談志追悼フェアを開催中で,それを狙ってかテレビの取材が入っていた。
 店頭のモニターに映る家元の姿と取材風景を見るともなく眺めていたら,マイクを向けられて,インタビューを受ける。
 何かを喋ったのだけど憶えていない。

だんしがしんだ

 立川談志死去の噂があるらしいという情報を,キウイさんの呟きで見る。

 キウイさん本人は祈りのような呟きで否定を続けるも,じょじょに本当らしいことが判明。
 21日に亡くなり,直門にも知らせないまま,既に荼毘にふされていたとのこと。
 らしいといえば,らしいのかもしれないが,家元にゾッコンの弟子達は堪らないだろうな。

立川キウイの会@お江戸上野広小路亭

一人。
 上野広小路亭は鈴本演芸場のほど近く。以前から存在は知っていたけれど,入るのは初。
 鈴本とのこの違いは何!?別世界。決して嫌いではないけど。

立川吉笑「道灌」(開口一番)
立川キウイ「出来心・改作」
立川キウイ「粗忽の使者」
 この改作というところが,結構曲者のような気がする。聞く側に知識を要求するのだ。
 長い年月をかけて完成された元の話とは違い,乱暴な言い方をすれば,切り貼りしたものなので,ひとつの落語としてみれば完成度は下がる。
 面白さは組み合わせの妙にあるのだが,元になっている複数の落語を知らなくては面白くない。または,面白さが半減する。
 勿論,結構有名な落語を選んでいるので,寄席に足を運ぶようなお客さんは,当然知っているという前提なのかもしれませんが,初めて落語を聞くような人には伝わり辛いだろうな。
 あえての通狙い?

 印象としては,中野より良かったというか,落ち着いていたというか,ホームゲーム的というのか。しかし,ホームにしては客席が寂しい。
 次の会は10月。

立川キウイの真打昇進の会@中野ZERO小ホール

 今月は,柳家小三治,立川談春に続く三回目の落語会。

 「立川キウイ」という落語家さんに関しては,他の落語家さんのまくらなどでのいじられぶりとTwitter+時々ブログ情報と著書「万年前座」を読了しただけの予備知識で,「Everyday、カチューシャ」を聞き込んで出かける。

 家元立川談志の口上も予定されていたものの,これは最近の家元の体調等を勘案すると無いと思っておいた方がよく,結果,やっぱり来られないと。しかし,豪華な顔ぶれであることは間違いなし。

「十徳」立川こはる
 以前,談春さんの会の開口一番で拝見して以来の二度目。いいですね。結局,この日唯一の(正統)古典。
「親の顔」立川志の輔
「人生が二度あれば」春風亭昇太
 人気実力共にトップクラスのお二人。生で拝見するのは初めてですが,やっぱり面白い。昇太師匠の軽さは至芸です。
仲入り
口上
 立川左談次・(立川キウイ・)春風亭昇太・立川志の輔
 いじられまくり。

「読書日記」立川左談次
 こちらも,もちろん名前は存じ上げておりますが,初めて拝見する高座。書籍「通になりたい(林家こぶ平著)」を読み上げつつ突っ込みを入れる。正蔵師匠受難。
「芝七」立川キウイ
 この日の主役登場。
 「芝浜」と「文七元結」を併せて「立川談志」を登場させるという新作?改作?怪作?
 「自分にしか出来ない噺」をとキウイさんは言う。それは重要なことだとは思うけれど,誰でもそうじゃないか。談春さんの古典にしても談春さんにしか出来ない落語。
 しかし,独自性だけではなく談春さんの落語は間違いなく面白い。
 キウイさんの落語は形式上の独自性は抜きん出ていても,面白さでいえば談春さんには届かない。これは,私の好みの問題でもありますが。
 「古典落語の技術でいったら(前座の)こはるの方がうまい」とおっしゃったのはキウイさんご自身ですが,その通りと言われかねないので笑い辛い。
 じゃぁ,もう立川キウイを聴きに行かないかというと迷うところ。
 紆余曲折あったようですが,結果的には家元が立川流真打として認めたという事実。「芝七」のおひさが「べろべろになっちゃえ」をあえて言い直すところ等の面白さ。それと,立川キウイという存在に対する私的なねじれた憧憬と嫉妬。
 言い間違いかあえてなのか,左談次師匠が志の輔師匠を「一門の屋台骨を背負って歩く」と評し,昇太師匠に「それじゃ行商だよ!」と突っ込まれていましたが,落語協会や落語芸術協会とは異なり,きっちりとした組織に個人が属するというよりも,絶対的な家元を中心に,夫々が何かを背負うことで成り立っているように見える立川流。
 その最高峰である真打の一員として,単なる怪作ではない快作・魁作を聴かせていただければ見っけ物。まだまだチケットは高騰していないので,何度か追って見ようかと思います。

立川談春独演会@横浜にぎわい座

二人。
「堀の内」立川春太
「宮戸川」立川談春
「短命」立川談春
(仲入り)
「人情八百屋」立川談春

 開口一番,春太さんの「堀の内」の後で奥様がポツリと「この前(古今亭)志ん朝さんの堀の内(の音源を)聞いたばかりなんだよね」と。
 イケネー,そいつぁーイケネー。古今亭志ん朝と比べてはいけない。春太さん,しっかりやってました。
 談春さんの噺は,アレンジや筋に腑に落ちない点もあるのですが,上手さで聞かせます。説得力があるというのか,絵の上手い漫画家さんみたいなもの。違う?

柳家小三治独演会@横浜にぎわい座

二人。

「阿武松」柳家〆治
「お化長屋」柳家小三治
(仲入り)
「かんしゃく」柳家小三治

 「まくらの小三治」の異名に違わぬまくらの長さ。「まくら」の範疇を超えた一つの演目です。

立川談春独演会@横浜にぎわい座

二人。

 桜木町「にぎわい座」は,一ヶ月分のチケットを前月の一日に発売するので,七月の立川談春独演会のチケットをとりに行く。10時販売開始のところ9時に到着。二階の受付から地下二階部分まで階段に沿って行列が出来ているのは見慣れた風景だが,今回はその列が折り返して一階に戻りホールから出口まで行列が続いている。

 七月は柳家小三治さんの独演会もあり,これを目当てにいつも以上の人が並んでいるのだ。柳家小三治恐るべし。結局私も,談春さんと小三治さん,両方のチケットを購入。

 この日は五月にチケットを入手していた談春さんの独演会当日でもある。
 夕方まで,都内で開催中のジパング展などで時間をつぶし,夕方に奥様と合流。

 今回は前座さんの出番は無しで,談春さんが二席。文字通りの独演会。
「高田馬場」と「百川」