ヨコハマメリー

 この映画は伊勢佐木町のニューテアトルで観てよかった。


 裏日本生まれの似非ハマッコである私でも,20年も横浜に住んでいれば伊勢佐木町には何度となく来ているし,「メリー」と呼ばれる女性の存在も耳にしたことはあるけれど,実際にお目にかかったことはありません。
 内容は,噂でしかメリーさんを知らない人から,面識のあった人,比較的親しい人まで,彼女やその周辺について語るいろいろな人のインタビューで構成されているのですが,おそらくメリーさんの本質を捉えているものは無ように思います。
 かといって,様々な証言の共通部分にメリーさんの姿が見えてくるということでもなく,かえってバラバラに交錯するままの幾つもの言葉が,捉えることの出来ない実態の周辺を,崩れやすい砂のように包み埋めてゆき,虚空を内包した鋳型の如き物を生み出す。
 終にヨコハマメリーを目にすることの無かった私は,その虚空が暗示する「ヨコハマメリー」の虚像に思いをはせるしかないようです。
※しかし,どんな事情で劇中に青江三奈さんではなく渚ゆう子さんの「伊勢佐木町ブルース」が使われたのかはわかりませんが,帰宅後にネットで検索してダウンロードし,久々に聴いた青江三奈さんのそれは,やっぱり強烈でした。
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