目黒 de 映画サロン

2014/08/16(土)13:00
 午前中仕事。午後は目黒の映画制作関係者のご自宅にて数人で映画のDVDを見るというイベントに参加。プロデューサーと監督,それに役者さんが三人。私だけが素人。二回目の参加ですが,前回も素人は私だけだった。

 作品は「灼熱の魂」。記憶にないけれど2011年12月に日本で公開された映画とのこと。
 複雑な関係性が解き明かされる,というかパズルみたいに組み合わされていく様が見事という見方と,出来過ぎという意見のどちらもあると思いますが,その背景にある問題と,最後に明かされる手紙の内容に,なんとも言い難い思いが残る。

 一回見終わった後,再度,初めから映像を流しながら,あれこれと専門家視点での興味深い解説が入る。

第16回 立川談吉 大事な会(第二回)@ミュージック・テイト西新宿店

2014/08/10(日)17:30 ミュージック・テイト西新宿店

「手紙無筆」
「親子酒」
(仲入り)
「黄金餅」

 台風11号の影響で,新宿は朝から豪雨と小止みの繰り返し。前回(7/10)は台風8号接近中だった。

 談吉さんにとっては八月初の落語とのことで,長めで回し過ぎな馴らし運転。
 「親子酒」「黄金餅」は前回のアンケートから採用。「親子酒」は初めてなのかな?
 「黄金餅」の金兵衛さんは木蓮寺への道を間違ったらしいが,私はそらんじているわけではないので判らなかった。途中で立ち止まったのは気づいたけれど。いずれにしても,辿り着いて何より。

 何度となく呪文のように「クオリティが,クオリティが……」と繰り返していましたけれど,演者の考えるクオリティと客が感じるクオリティは異なるのでしょう。客の一人としては充分に楽しみました。
 立川談吉の落語が好きなので,その時の高座をそのまま楽しんでいます。気になる点とか無いわけでも無いのだけれど,それはそれ。機会があればご本人に伝えるかもしれないし伝えないかもしれない。

 いつか立川談吉の落語が私の好みの範疇から外れてしまったら,その時には黙って客席から消えようと大仰な覚悟をしていますが,あの高座の雰囲気とそれを楽しむこちらの感覚のバランスは,ちょっと他の落語家さんでは得られない快楽なので,永く見ていられたらいいなぁと思う。

 変わらないで欲しいということでは無く,変わっていく様も含めて面白がりたいということですけど。

スイートプールサイド@キネカ大森

2014/08/08(金)キネカ大森

 先週08/06,妻と映画を見ようということになった。
 私が気になっていたのは,テレビCMや情報番組などで目にしていた「GODZILLA ゴジラ」「思い出のマーニー」「マレフィセント」。前回行きそびれた「呪怨 終わりの始まり」。映画情報サイトで気になった「グランド・ブダペスト・ホテル」「2つ目の窓」「スイートプールサイド」。

 妻に提案したのは「GODZILLA ゴジラ」から「グランド・ブダペスト・ホテル」までの五つ。妻の選択は「マレフィセント」だったが上映時刻のタイミングが合わず「グランド・ブダペスト・ホテル」を見た。好きな映画が一つ増えた。「マレフィセント」は後日改めて見に行く約束をしている。

 その他の候補の中で「スイートプールサイド」が気になる。一旦気になると加速度的に気になる。
 情報源は映画情報サイトと公式サイトのみ。大抵の映画公式サイトは映画自体よりも魅力的だ。漫画原作らしいが未読。

 確認時点で関東圏での上映はキネカ大森のみで8/8まで。となると俄然見たくなるのが人の情。上司と掛け合って(理由は伏せて),夜の勤務を人の少ない翌週と入れ替えて無理やり時間を作って最終日の最終回を一人で見に行った。
 キネカ大森は西友大森店の五階。3スクリーンのノスタルジックな映画館。「プルガサリ」とか上映中。
 「スイートプールサイド」を上映するシアター2は69席。私の他には,20代の男性二人連れ,仕事帰りに見える60歳くらいの男性二人連れ,女性のお一人様が何人か。

 大正解。ここ数年で私が見た中でも最も好きな映画の一つ。出来の善し悪しではなく,あくまでも好みで,全く誰にもお勧めはしないが,とても好き。好き過ぎる。

 「体毛の薄い高校1年男子が体毛の濃い高校1年女子の腕やら脛やら脇やらを剃る」という映画。こう纏めてしまうと身も蓋もない変態映画のようだけれど,思春期の純粋な心の悩みを……と書きたいが,やっぱり多分に変態映画だ。というか,そもそも高校生なんて皆変態だ。ドロドロしてキラキラしてる。

 主人公の二人だけじゃなく,クラスの男友達も女友達も,水泳部のキャプテンもOBも良いやつばかりだったな。良いやつばっかり過ぎるな。それも良い。

 思い出しても切なくて胸が痛くなる。

 リアルな高校生が起こした事件がセンセーショナルに報道されているが,地続きなんだろうな。

 無理やり時間を作って出かけた手前,つまらなかったとは思いたくない!という意識が働いているかもと,数日放っておいたが,やはり好きなので書いておく。

グランド・ブダペスト・ホテル@角川シネマ有楽町

 8/6は日本にとって大きな出来事のあった日ですが,我々夫婦にとっては,結婚(式)記念日でもある。ちなみに今年は9回目。よりによってこの日を選ばなくても良かったのだが,深く考えたわけじゃない。深く考えない時点でダメなのかもしれないが。

と,去年と同じ言い訳をしつつ,日本の歴史を踏まえた未来については何をしていいか判らないので,せめて妻には良い雰囲気で食事でもと,猛暑の中を二人で都内へ。

 せっかだから映画でも見よう。都内で上映中の映画をざっと見渡すと興味を引かれるものがいくつか。あくまでも私の興味の順番に挙げてみると次の通り。
「グランド・ブダペスト・ホテル」「2つ目の窓」「GODZILLA ゴジラ」「スイートプールサイド」「思い出のマーニー」「マレフィセント」「呪怨 終わりの始まり」
 方向性が見えない。

 妻の選択は「マレフィセント」。ところが,東銀座駅に着いたのが開演時刻10分前。とりあえずマリオンに向かい,チケット売り場で5分前。ちょっとした行列が出来ていて手間取りそうなので,少し時間に余裕のある角川シネマ有楽町の「グランド・ブダペスト・ホテル」に変更。

 CGのようなアニメのような背景とか,全体的な映像が大好きなタイプの映画。グロいシーンもあるけれど,わざとリアルさを落としているダミーの人体表現でコミカル風味。アガサがとても魅力的。
 私はとても満足しましたが,妻の感想はどうだったのかな?「面白かった」と言ってはくれましたが,改めて「マレフィセント」を見に行く約束をする。

 夕食はフレンチ。店はグランド・ブダペスト・ホテルよりはまっとうなホテルの二階。
 いきなりアミューズが崩れ落ちたり,オードブルの蓋付きの器が丼物の風情だったり,突っ込みがいのあるコースでしたが,結局きちんと満足させてくれるのも伝統の力。小さなお祝いのケーキも付けていただきました。

 飲み残して持ち帰ったワインを自宅で飲みながらテレビをつけると,綾瀬はるかさんがインタビュアーとして広島のお年寄りから当時の様子を聞いていた。暑い一日。

挑戦!新・宮治本舗 2@国立演芸場

2014年07月29日(火)19:00「挑戦!新・宮治本舗 第二回」@国立演芸場
ゲスト:三遊亭小遊三

「オープニングトーク」桂宮治
「雑排」雷門音助
「棒鱈」桂宮治
「お化け長屋」桂宮治
「鰻の幇間」三遊亭小遊三
(仲入り)
「船徳」桂宮治

 この日,私の勤務地である新宿では立川談吉さんが出演する会と,立川笑二さんが出演する会があり,後ろ髪を引かれながら新宿を後にする。
 更にはこれまで皆勤だった野毛での立川こはるさんの会もあり,横髪も引かれながら三宅坂へ。
 会場で妻と合流。見知った顔が何人も。我々の席は下手側最前列。すぐ後ろには戸越銀座おじさん。

 開演数分前に宮治さんが上手側幕横から出てきてトーク。
 「前回は三席とも長過ぎて終了時刻が遅くなったから今日は短めにします。」と言ったけど全然信じられないし,結果全然短くなかったし,でも全然いいんだけど。

 音助さんって宮治さんのお嬢さんのお気に入りでしたっけ?良い人そう。話もきっちり。

 「お化け長屋」の後半は初めて聞いた。というか,知らなかった。
 「船徳」では序盤で明らかなトチり。事前にかけた西荻の時と全く同じところをマジでトチったらしい。
 一方これはトチリではないのだけれど,竿を流される場面で扇子を舞台袖に飛ばして,櫓はどうすんだ?と思わせて帯の後ろに隠しておいた別の扇子を出して見せるというサプライズ演出……だったんだけれど,前方の席客からは,初めからもう一本の扇子が見えていて,そういうことだよねと思われていたはず。

 そんなこんなも含めて結局やっぱり面白かったんだけれど,この日の白眉はゲストの三遊亭小遊三さんの「鰻の幇間」。
 私は三遊亭小遊三さんの生の高座は初めて。
 「鰻の幇間」は最近では6月のレフカダと今月の道楽亭で宮治さんのを聞いた。
 どちらが面白いとかつまらないとか良いとか悪いとかではないんだけれど,小遊三さんの「鰻の幇間」は絶妙に力が抜けている。「鰻の幇間」という話が持っている面白さそのままに面白い。白焼きだね。今の宮治さんにはおそらく出来ない話。
 「手短に!」言えば,「宮治ってスゲー汗かいていろいろ詰め込んでるけど,落語って普通にやれば面白いじゃん。」と思われかねない。
 そもそも演者としてのタイプの違いなのか,これこそが二つ目と真打,経験の差なのか。考えてみれば怖いゲストを呼んだものだ。

 でもさ,宮治さんの濃厚なタレがまた美味いしクセになるんだよね。というわけで,早速次回のチケットを先行予約済み。「居残り佐平次」楽しみ。

※終了後のロビーで,早速「手短に!」を乱用するOL風女子発見。あのギャグ,「典子は、今」的な連想をしてしまったな。

盛夏吉例 圓朝祭 初日@豊島公会堂

2014/07/19(土)16:00 豊島公会堂
「反対車」桂宮治
「麻のれん」春風亭一之輔
「死神」桃月庵白酒(三遊亭圓朝作)
「二十四孝」春風亭昇太
(仲入り)
「錦の袈裟」柳家三三
「真景累ヶ淵より お累の自害」桂歌丸(三遊亭圓朝作)

 会場は時代のついた公会堂。向かいの公園では「東京フラフェスタ in 池袋」。
 チケット購入が遅れたためS席でも二階席。座り心地が良いとは言えぬ椅子で開演を待ちながら,入口で配られた団扇の意匠で錚々たる顔ぶれと肩を並べた宮治さんの名前にしばし見入る。

 阿波踊りの出囃子で宮治さん登場。今日も馴染みの「戸越銀座!」の声がかかる。
 これをいじりつつ,大阪のオバサンと自動改札のマクラから話に入る。
 「圓朝祭なのにこれでいいのかなぁ」と言いながらの熱演。赤い毛氈に飛び散る汗。

 「芸者をあげる」のくだりでサゲと勘違いした何人かが拍手。「未だ終わりじゃないよ。一之輔兄貴は出さないよ!」と言いつつ本当のサゲに向かう。ここは以前に日本橋亭の独演会で,客席ばかりか前座さんも勘違いして幕を半分降ろしたことがあったっけ。あの時はともかく,今では意識的に勘違いを誘って笑いを作っているのでは……なことは無いかな。

 触れられそうな至近距離で見る機会が多い宮治さんの高座ですが,遠く二階席から見ていると,いかにも人気落語家さん然としていてるなぁ,とちょっと複雑な気持ち。
 
 毛氈に飛んだ汗を手ぬぐいで拭いて,高座を降りる宮治さん。続いて上がった一之輔さんは大袈裟に顔をしかめて,「手ぬぐいで拭いたくらいじゃとれないよ」と毛氈に飛んだ汗の範囲を扇子で示す。
 「麻のれん」は初めて聞いた話。面白い事は言うまでもなし。

 白酒さんは圓朝作品担当のプレッシャーを吐露。圓生とは違うからと繰り返し敷居を下げる。
 死神がヨーロッパ起源であることから初の海外旅行で搭乗したスイス航空のCAの話になり,世界遺産の教会の話から(ちょっと宮治さんをいじって)死神へ戻る。
 斬新な死神のキャラ設定,そして死神を枕元の死神を退散させる手段。

 話は前日に戻るけれど,「柳家小三治さん人間国宝」の大ニュースがあった。
 この日の中入り後の演者を見て,個人的に何やらドキドキしていたのですが,結局この話題に触れたのは白酒さんのみ。
 マクラではなく話の中に大胆に放り込んできて会場が沸いた。終盤では更に一歩踏み込んだ白酒さん。会場がざわついたように感じたのは私の穿ち過ぎかな。愛嬌たっぷりの外見に似合わぬ毒をはく,との噂に違わぬ白酒さんの高座でした。

 昇太さんは圓朝祭の話が来たときに「圓朝作品なんて……」と謙遜したら「昇太さんは圓朝作品じゃなくていいです。」と言われてホッとしたような複雑な心境を告白し,この日の白酒さんの死神を聞いて「あれなら俺でもよかったんじゃないか!」。
 開演前にフラフェスタを見ていた時の悲しい出来事。ここでも宮治さんがいじられる。
 同期の立川志の輔さんとの対比ネタからはいった爆笑の「二十四孝」でしたが,サゲで泣きそうになる。

 仲入り。ここまででも充分に堪能したのに,更に三三さんと歌丸さんが続くという贅沢さ。

 仲入り開け。高座の毛氈が藍色に変わっている。(宮治さんの汗のせい,ではないでしょう。)

 三三さん,いつものようにひょこひょこと登場。とにかく聞かせます。

 三三さんが下がると,いったん幕が降りる。

 再度幕が上がると,板つきで歌丸さん。笑点では歩いて登場していたと思うのですが,段差のある高座は厳しいのか。
 話の方は,前後の繋がりを知らない私には判らないところもありましたが,しっかりとした口調で未だ未だこれからのご活躍を期待させる高座でした。

 堪能。

負けてたまるか!? 宝井琴柑 vs 桂宮治@道楽亭

2014/07/15(火)19:00 道楽亭

「坂本竜馬とおりょう」宝井琴柑
「鰻の幇間」桂宮治
(仲入り)
「看板のピン」桂宮治
「鍋島の化け猫騒動」宝井琴柑

 先月の一龍斎貞弥さんに続いて,宮治さんと女流講談師の組み合わせ。講談を主目的で見に行くことは無いので,こういった組み合わせはありがたい。
 聞く機会が少ないので,講談については良いも悪いも判らないのですが,独特の心地よさがありますね。

 宮治さんはこの夜も爆発。あの空間ではオーバースペックと思えるほどの熱演。

 一席目は会場備品の段ボール製釈台を使った琴柑さんでしたが,トリでは持参の木製天板を乗せ,その上手側に演者自身で明るさと色を調整出来る照明を置く。やはり段ボールとは張扇の音が違う。
 照明を落とした会場で,下からの照明に浮かび上がる琴柑さんの化け猫話で,楽屋スペース撤去ギリギリの大入りとなっていた熱い客席に冷た~い風が吹き込んだ気がした。

 「怪談を聞いた帰り道が一番危ない。」という琴柑さんの言葉で帰り辛くなったのか,多くの客が打ち上げに参加。お二人を囲んで盛り上がる。
 高座の琴柑さんも魅力的だったが,私服に着替えた琴柑さんは怪談の怖さも吹っ飛ぶキュートさ。

 あぁ,思い出した。せっかく宮治さんから「ドイツんだ」を振られたのに「オランだ」の返しが出てこなかった。不甲斐ない。オランダ生まれのキャラクターの話題で宮治さんをバカにした直後の優しい振りだったのになぁ。宮治さんごめんなさい。バカは私でした。

 今週末土曜日は,またまた宮治さん出演の「盛夏吉例 圓朝祭(初日)」@豊島公会堂に行く。妻も同道。
 宮治さんはネタだしで「反対車」。他に春風亭一之輔,桃月庵白酒,春風亭昇太,柳家三三,桂歌丸というスター軍団。個人的な好みのうえでも,よくぞ揃ったという面々。うれしい。楽しみ。

のんき夜行 第15夜「三遊亭粋歌・立川笑ニ」@らくごカフェ

2014/07/14(月)19:30 らくごカフェ
「元犬」立川笑二
「バリバリ女子大生」三遊亭粋歌
(仲入り)
「おじいせん」三遊亭粋歌
「天狗裁き」立川笑二

 あー,やっちゃった!!
 この日は,もうひとつ気になる会があったのだけれど,悩んだ挙句こちらに決めた。
 早めに神保町についてICI石井を覗いていると職場の上司から電話。どうやらこの日,私は23:00まで仕事の予定を入れていたらしいのだが,てっきり17:00までと思い込んで,さっさと退社してしまったのだ……
 職場に戻ることも考えたが,スタッフの頭数は何とかなるようなので,欠勤扱いということで平謝りで電話を切る。

 よくよく考えるに,この日はどちらの会に行くかの前に,落語に行くか行かないかで悩み,翌日や週末にも落語の予定があるから,この日は仕事をしよう。と決めたことを忘れていた。

 まぁ良い。いや,良くはないが,仕方が無い。いやいや,仕方が無くもないが,どう考えても私のミス。明日改めて頭を下げるしかない。切り替え!!

 開場15分ほど前に会場着。既に数人並んでいる。開場までにさらに数名が並ぶ。

 開場。料金を払い,最前列の下手の席を確保。開演までの30分の間に,これから職場に戻れば,少しは稼げるけどなぁとも考えたが,今更だしな。

 笑二さんは昇進の会以来。マクラで初恋の話。
 「元犬」を聞くのは二度目か。面白い。あのサゲは,皆さんどちらに解釈しているんだろう。本人はどちらのつもりなのだろう。

 粋歌さんはシェア以来。
 「バリバリ女子大生」は白鳥さん作。どうも,私は白鳥さんと合わないのかな。同郷ということで親近感はあるんだけれど,残念なことにハマった事がない。
 「ビッグイシュー」の扱い方も気になったな。これは,私が気にし過ぎるのかもしれない。
 サゲは白鳥さんのままなのか,粋歌さんが変えているのか判りませんがピンとこない。「サゲなんて照れ隠し」と言ったのはサンキュータツオさんだったか。それほどサゲを重要視するわけではないけれど,それにしても……だな。

 仲入り。少し職場の事を考える。

 仲入り明け。
 「おじいせん」は面白かった。愛想尽かしをしたはずの男からの電話で,フッと許しそうになる粋歌さんの表情が切なくて大好きだ。

 さて,まんまと罠にハマって引き受けたトリの笑二さんは「天狗裁き」。
 出だし,「芝浜」見立てで一笑い。最後まで面白い。

 あぁ,やっぱり来てよかったと。と思いつつも,浮かんでくる上司の顔を押さえつけて,無理やり余韻にひたる帰り道。

第15回 立川談吉 大事な会(第一回)@ミュージック・テイト西新宿店

2014/07/10(木)19:30 ミュージック・テイト西新宿

「千早ふる」
「大工調べ(序)」
(仲入り)
「ろくろ首」

「嵐を呼ぶ男」と異名をとる談吉さん。仕切り直しの大事な会の初回となるこの日は,折しも台風8号接近中。「50年に一度」とか「7月では最強」とか,なかなか強力な台風らしい。開始時刻には雨もパラパラ。

ご本人は,何故か自宅から新宿まで四時間くらいかけて歩いて来たという。マクラ代わりに「ココを通って,ココに出て,ココに入って」などと地名を挙げて黄金餅的にではなくただの話として語るが,こちらの地理的な知識が不足でよく判らない。先ず,何故歩いてきたのかも判らないけれど,そこそこ面白いから良し。

「千早ふる」序盤では喉を震わせていたものの,途中突然に喉に異変。ご本人も客席も不安に包まれたまま話は進み,なんとかオチへ。
途中,携帯電話の着信音が聞こえたような気もしたな。

スタッフから受け取ったペットボトルの水で喉を潤し「大工調べ」。喉は何とか持ちそうな感じ。
談吉さんの言い立てが好きだ。

終わって頭を下げたときにペロッと舌を出したのが見えたぞ。四時間の徒歩のためか足元もふらついているように見える。いろいろと大丈夫だろうか?

仲入り。外に出てみると雨は上がっていて風もないが,空を見上げると雲の動きが早い。

仲入り明け。喉の調子を気にしつつ,ネタおろしとなる「ろくろ首」。
今まで触れられることのなかった(かな?)与太郎さんの一面に踏み込む演出で,(違うと思うけど)社会問題に一石を投じつつ爆笑を獲った。
毬と猫のくだりは難しいね。
出来については今後の課題として,けっこう面白かったよ。

次回(8/10(日)17:30)からは,客のリクエストでネタおろしの演目を決める(かも)とのこと。その方が楽だとおっしゃっていましたが,そういうもの?一応,アンケート用紙に一つだけ演目を書いてきました。

台風8号はアジア名「ノグリー」。韓国語で「たぬき」の意味でしたけど,たぬきの話は演らなかった。

終了後,会場を出るとまた雨がパラついているものの台風という程の状況ではなく,横浜の自宅に着くまで静かな夜。翌朝には通り過ぎた後らしく,たぬきに化かされたような台風でしたねぇ。

負けてたまるか!? 一龍斎貞弥 vs 桂宮治@道楽亭

2014/06/17(火)19:00 道楽亭
「お坊主稲川夫婦相撲」一龍斎貞弥
「お菊の皿」桂宮治
(仲入り)
「ちりとてちん」桂宮治
「姉川合戦・木村又造鎧の着逃げ」一龍斎貞弥

 心身ともに低調な日々。カンフル剤代わりに道楽亭へ。
 お客さんは20人弱?

 講談は,それ自体を目当てに出かけることはないけれど,お気に入りの落語家さんとの組み合わせで何度か聞いたことがある。貞弥さんも以前立川こはるさんとの二人会で聞いた。
 稲川はいい話といえばいい話だけど,木村又造はなんだろう,「鎧の着逃げ」と題した時点で「忠」や「考」ではなく面白ろなのかな。聞き慣れていないからかちょっと戸惑う。でも,声と調子が心地良い。
 段ボール製の釈台ってあるんだね。

 宮治さんは段ボール製釈台や一龍斎貞水さんなどの講談絡みの話から,人間国宝の話に触れつつ,怪談繋がりで「お菊の皿」。そして「ちりとてちん」。

 打ち上げにも10数人が参加。
 最近,テレビでの露出も増えた宮治さん。当然のように「噺家が闇夜にコソコソ」の話題も出ましたが,この番組をご存じないお客さんもおられました。
 当日朝に録画を見た私が,その直後にYoutubeのWeb限定スペシャル動画・第十二席を視聴した段階で再生回数が68回。 意外に少なかった。どれくらいの人があの番組を見ているのかな。

 さて,充分に笑わせてもらった。カンフルが効いたかどうか判らないが,とりあえず一日づつ乗り越えていく。というかやり過ごす。