笑福亭鶴瓶落語会@赤坂ACTシアター

2013/10/31(木)18:30

「鶴瓶噺」スタンディングでのトーク
「Chinge」
「オールウェイズお母ちゃんの笑顔」
(仲入り)
「死神」

 「Chinge」はトークとして聴いたことがあるような気もするが面白かった。この日の中では一番好き。

 「オールウェイズお母ちゃんの笑顔」もよかったのだけど,最後の盛り上がりで置き去りになってしまった。
 何となく想像していたオチの通りで,自分のことを重ねてジーンとなりつつあったのだけど,どこかで鶴瓶さんの話と私の気持ちが離れてしまったなぁ。

 仲入り後。この日のトリネタは「死神」。何年か前に,東京ポッド許可局でサンキュータツオさんが話していて,ズッと気になっていた。私の中で勝手に期待が高まっている。
 仲入り前より照明を落とした高座で,鶴瓶さんのメガネのフレームが時々キラッと光るのが気になる。
 呪文はよくあるパターンとは違うものだったが,呪文と聞いたとたんにMr.Childrenが浮かんだ。

 普通の死神と設定が大幅に変わっているのは知っていたが,漠然と想像していたのとは違っていた。
 サンキュータツオさんは「いい話」になっていると仰っていたが最後は切なかった。「オールウェイズ…」とは違う切なさ。で,私はこの種の切なさに弱いというか苦手なのです。

 とは言っても,この日の高座がつまらなかったとか不満だというわけではありません。妻も満足したようだし,誘った甲斐があった。

 鶴瓶さんは最後の挨拶で「落語ではないものにしていきたい」というような意味のことをおっしゃっていたなぁ。

 しかし,1,300席の会場がほぼ満席。しかも,4日連続。他の日も埋まっているのでしょう。全国区の売れっ子は凄いな。
 下世話な話,この日の料金は5,000円也。前々日には道楽亭で飲み放題料理付き打ち上げ3,000円込みの計5,000円で,演者に手が届く距離で落語を聴いたのだった。来週も道楽亭に行く。

負けてたまるか!? 春風亭ぴっかり☆ vs 桂宮治@道楽亭

2013/10/29(火)19:00 道楽亭

「やかん」春風亭ぴっかり☆
「明烏」桂宮治
(仲入り)
「暴れ牛奇譚(スペシャルエディション)」桂宮治
「元禄女太陽伝」春風亭ぴっかり☆

 二人でのオープニングトーク。例によって順番は決まっておらずジャンケン。一旦二人ともさがるかと思ったが,そのままぴっかり☆さんが残って高座へ。慌てて出囃子が流れるがタイミングが取れず変な感じ。

 「やかん」後半の講談調の部分を聴いていると,しっかりした技術をもっているなぁと改めて思うのだが,同時にその辺りをすっとばしていた晩年の家元の凄さを感じる。

 「明烏」はこってりたっぷり笑わせてくれる。こってり過ぎる程に。

 「暴れ牛奇譚」は当日電車の中で閃いたという思いつきを入れ,効果的に笑いに繋げていたが,そのためサゲに関してはオリジナルの浮遊感?みたいなものが薄れていた。もう少し練ってまた演りたいとおっしゃっていたが,サゲをどうするのか気になる。

 「元禄女太陽伝」は師匠小朝さんのネタのようですが,私は初めて聞いた話。
 「コハル」「マツノジョウ」の登場にザワザワしたのは私だけではないようですが,これは元々そういう名前の設定。

 ちなみに,ぴっかり☆さんがこの話を始めた時に,カーテンで仕切られただけの控え室から宮治さんのうめき声が聞こえたような気がした。終演後の打ち明け話では,事前にぴっかり☆さんのネタを確認したにもかかわらず,同じ廓話の「明烏」をうっかり演じてしまったとしきりに恐縮していた。
 ぴっかり☆さんが避けることも出来たのでしょうが,この辺りのしきたりや力関係はよく判らない。

 打ち上げは結構な人数が残り,ぎりぎり着座のセッティングでしたが,宮治さんはズッと立ちっぱなしでサービスしまくり。通風の痛みは治まっているようで一安心とはいえ,ご自愛ください。

第一回 こはるパラダイス築地編 第二夜「新作アラカルト」@ブディストホール

2013/10/08(火)19:00 ブディストホール

「ナースコール」
三題噺お題抽選
「饅頭こわい」(立川笑二)
(仲入り)
「タカハシ課長の七日間」(三題噺)
「トリ藝人伝」(ネタ卸し)
※番組表にあった「猫と金魚」は時間の都合で割愛。

 客は開場前に紙を渡され三題噺用の言葉を一つ書く。この中から「ナースコール」の後にこはるさんが無作為に三つの言葉を選ぶ。選ばれた言葉は「アップ・トゥー・ユー(up to you)」「女の色気」「ハロウィン」。

 話を作る間,笑二さんの「饅頭怖い」。この日一番安定感があり面白かったのはこれ。

 好みで言えば「ナースコール」も好きではないし,仕方が無いとは言え「三題噺」は完成度は低く,やや冗長。

 トリネタである「トリ藝人伝」はこはるさんとしては初?の自作の新作のネタおろし。
 こちらも完成度が高いとは言えず,やはり長い。

 もし,三日のなかでこの日だけを観たとすれば,ハズレと感じたかもしれない。でも,実はこの日がこの三日連続の会の眼目だったような気がする。

第一回 こはるパラダイス築地編 第一夜「威勢のいいはなし」@ブディストホール

2013/10/07(月)19:00 ブディストホール

「粗忽の釘」
「大工調べ」
(仲入り)
「三軒長屋」

 19:00開場の30分前に到着。整理番号は20番。結局,164席のブディストホールの半分以上は埋まっていたのかな。

 その昔このホールで独演会をやられていた,師匠である談春さんから,場所的に厳しいと言われたとのことですが,至近の職場に20歳から15年間通っていた私にとっては馴染みの場所。当時に比べればお洒落な店も増えているし,銀座からも近い。良い場所だと思うがな。
 これも師匠からの情報で楽屋に何やら出るとか出ないとかで,自宅に奉っている近所の神社のお札を持ってこようかと思ったが,本願寺に神社のお札では,別の争いが勃発するかと考えて止めたとのこと。本願寺で「パラダイス」と銘打っている段階で,もう何をか謂わんやとも思うのだけれど。

 いきなり出囃子を間違えるというハプニングから始まる。

 「粗忽の釘」「大工調べ」と大工続き。悪くは無いのだけど,しっくりこない。でも会場は受けているなぁ。

 仲入りでちょっとしたハプニング。これはしょうがないか。

 明けて「三軒長屋」は良かった。新しくなった歌舞伎座を眺めつつ有楽町駅まで歩く。

キクチがまいります・ゆる~い三人の落語会 Vol.1@駒込ソフィアザール・サロン

2013/10/06(日)14:00 3,000円(懇親会・軽食飲み物付き)
「トーク」(柳家ろべえ・瀧川鯉八・立川談吉+席亭)
「道潅」柳家ろべえ
「釜泥」立川談吉
(仲入り)
「暴れ牛奇譚」瀧川鯉八
「小言念仏」柳家ろべえ

ろべえさんと鯉八さんは初。

「暴れ牛奇譚」は先日宮治さんで聞いたが,本家鯉八さんの面白さは独特。
オチで不覚にも吹いた!

『よこはま宮治展』@のげシャーレ

2013/09/24(火)19:00 のげシャーレ

オープニングトーク
「がまの油」
「暴れ牛奇譚」
(仲入り)
「お見立て」

 我々夫婦は最前列の右サイドに陣取る。音助さんには申し訳ないが,話が始まると慢性の不眠で逆に常に眠い妻が船をこぎ始める。後ろの席の人が気になるだろうなぁと思っていたが,宮治さんの「がまの油」が始まると,目が覚めたようだ。恐るべし。

 「暴れ牛奇譚」は,瀧川鯉八さん作の新作落語。最近頓に評判の高い鯉八さんですが,残念なことに私は未見。「暴れ牛奇譚」も面白いという評判ばかりが耳に届いていたわけですが,幸か不幸かオリジナルより先に宮治さんで聴くことになるとは。オリジナルを知らないままに聴いた「暴れ牛奇譚」でしたが,プロローグとエピローグに挟まれたメインの話の繋がりが謎のまま放り出され,一瞬呆気に取られるが,非常に面白かった。

 ネタ下ろし二席が終わり,ホッとしたからでもないでしょうが「お見立て」では残念な言い間違いがあり,更にご本人も触れざるを得ないようなすっ飛ばしもあったりしたが,勿論それも面白く処理してくれた。
 聞き間違いでなければ「がまの油」の言い立てでも微妙な言い間違いがあり,その一つ一つを穿り返すつもりはないが,人の失敗に目ざといという因果な性格のため,私は言い間違いには敏感だ。

 宮治さんの場合には,本人にも制御できない仕事量がその背景にあるのだと思う。仕込や練習が間に合わないのではないだろうか。おそらく今はそういう時期なのだ。踏ん張って欲しい。

 話は変わるが,私は永く職人さんと関わる仕事をしてきた。「手間隙を惜しまない」というのは言われがちな職人の理想だが仕事となるとそうは行かない。どの部分の手間隙を省くかの鬩ぎ合いになる。完璧は無い。常に手抜きと見切りが要求される。どこかの時点で完成としなければ,商品として客に出せない。
 「速さが金になる。」というのは私の師匠の金言だ。仕事が速ければ商品を沢山作れるのは当然だが,それだけではなく,時間的な余裕を作れる。最低限の仕事をこなした上で品質に時間を注ぎ込めるようになる。

 宮治さんはおそらく落語を仕上げるのが速い。何度かネタ下ろしを聴いたが例外なく面白い。こちらも「ネタ下ろし」だからと身構えてハラハラしながら聴き始めるが,最後にはただただ笑っている。初回から充分に売り物として提示してくれて,少し演り込めば更に面白さが増す。上手さが前面に出てこないのは,上手さの何よりの証拠だ。

 宮治さんが落語芸術協会所属というのは象徴的。「芸」の「術」に秀でているのだ。もしかすると本人にとってはある意味で不運かもしれないが,リアルタイムで聞ける私にはこの上ない幸運。
 「暴れ牛奇譚」のような話が出来るのであれば,グンと守備範囲が広がる。今は辛いかもしれないが,ここが正念場。永く続く正念場かもしれないが何とか乗り切っていただきたい。

 ご本人が心配していた集客面も,当然のようにほぼ満席で,次回の「よこはま宮治展」も年明け2/26日に決まり,横浜は大きな損失を免れた。その前の11月は日本橋社会教育会館。4月には国立だ。クニタチではなくコクリツだ。

 我ながらまとまりの無い文章だがとにかく嬉しい。文句ばっかり書いているようだが,本当に嬉しい。
 とてもよい会だった。終了後に妻と二人で近くの餃子屋に寄り美味しいビールを飲んだ。

こはるパラダイス@のげシャーレ

2013/09/20(金)19:00 のげシャーレ

「平林」
「提灯屋」
(仲入り)
「寄合酒」
「岸柳島」

 トークタイムでは客席から随分と積極的に声が出ていたが,随分と品の無い発言があったな。

 話は四席とも良い出来。

 仲入りで流れた「やまがたすみこ」さんの歌が懐かしすぎる。
 それと,「平林」を神楽の芸人さんに教えるとかでご自分で録音されていたのですが,メディアがカセットテープ。何とはなしにこはるさんらしいと言えなくも無いが,相手も対応出来るのか。私はカセットテープで音源をいただいても対応出来ないな。