第九回 こはるパラダイス@のげシャーレ

2014/03/07(金)19:00 のげシャーレ

「転失気」
「花見の仇討」
(仲入り)
「一文惜しみ(五貫裁き)」

 いつもであれば仕事が終わってから駆けつけるので,18:30の開場ギリギリ着で最前列には座れない。
 やるべき雑事が山のように溜まり,休暇をとったこの日,結局他の用事が捗らないまま,それでも18:00頃に会場に入ったが,整理券番号は「24」。常連さん強いな。

 雪がちらつく寒い戸外から入った会場の暖かさにやられ,「転失気」で睡魔と戦うが,「花見の仇討」で持ち直す。

 眠かったからか,前半の二つの話はちょっと平板な印象。

 「一文惜しみ」は初めて聞く話。興味深く聞く。こんな時こはるさんの聞き取りやすい口調は大きな武器。面白かった。

 3月31日のブディストホールでは,また珍しい話を聞かせてくれるらしい。今から楽しみ。

「負けてたまるか!?」柳家喬の字 vs 桂宮治@道楽亭

2014/03/04(火)19:00 道楽亭

「松竹梅」柳家喬の字
「干物箱」桂宮治
(仲入り)
「蝦蟇の油」桂宮治
「もう半分」柳家喬の字

 お客さん少なめ。11人だったかな。

 高座にあがるや打ち上げ込みで評価してくれと訴える喬の字さん。いや,落語も(も?)面白いけどね。

 宮治さんの「蝦蟇の油」の言い立ては見事だった。が,馴染みの客ばかりだったからか中手も起きないというフワフワしたいい空気感。

 トリで「もう半分」を終えた喬の字さんが,これで帰ると暗いまま終わるからねぇと言ったからかどうか,お客さん全員が打ち上げに参加。
 喬の字さんはいきなりハイピッチでビールをあおりつつ,宣言通り打ち上げを盛り上げる。けれど,笑いをとる度に「何故それを高座で演らない!」と総突っ込みをくらう。
 そのうえ,「前回の打ち上げの喬の字さんはもっと面白かった。今日は突っ込み役が甘い!」とトバッチリで責められる宮治さんも好い面の皮。

 いやいや,面白かった。

『よこはま宮治展』@のげシャーレ

2014/02/26(水)19:00 のげシャーレ

「オープニングトーク」桂宮治
「子ほめ」桂たか治
「権助提灯」桂宮治
「花筏」桂宮治
(仲入り)
「七段目」桂宮治

 宮治さんから「破門になった弟弟子を見捨てたアオブダイ(抜粋)」と紹介され,師匠文治さんの出囃子で登場したかた冶さん。アオブダイというよりコブダイのような魅力的な容貌。
 「違うんです!!」と切り出し,破門にまつわる宮治さんの話の訂正に随分と時間を費やしたが,これが面白い。
 落研で優勝経験もある平成元年生まれ。達者なしゃべりでいやみも無い。まぁ,宮治さんとたか冶さんのどちらの言い分を信じるかとなれば(宮治さんの日頃の言動からして)たか冶さんだな。

 さて宮治さんの落語。
 「権助提灯」で旦那が「提灯の中の蝋燭に」を律儀に繰り返すところが妙におかしい。

 ネタおろしの「花筏」。サゲにかかって急に調子が変わり,客の台詞なのか誰の台詞なのか地の文なのかフワッと終わったような印象。最後だけ違う人の演出と入れ替えたみたいな感じだったな。

 「七段目」では,刀の封印を解くところがツボ。

 いや~,結局のところ今回も客席はほぼ埋まり,やっぱり宮治さんは面白かった。逆境を爆笑に変える力技もお見事です。でも,二度も逆境を招かないでね。

 一緒に見ていた妻も満足したようで,終演後は長者町で餃子を食べながら,面白かったね~と褒めたり褒めなかったり。

 次回の「よこはま宮治展」は8/25(月)の予定。

※私は仕事で早く並べないので,妻が17:30頃から並んでくれたが,それでも最前列ではなく二列目だった。これはしかたないが,前に座ったお客さんが吃驚するほどひっきりなしに前後左右に体を動かして,そのたびに私の視界を塞いでくる。なんだろう,嫌がらせかな?初対面だと思うけど。あのお客さんの後ろだけは避けることにしよう。

立川キウイ × 鈴々舎馬るこ 新作DVD「腐った果物」発売記念落語会@道楽亭

2014/02/20(木)19:00 道楽亭

「野晒し」立川キウイ
「シャンソン漫談」ひとみちゃん
「日本語学校の桃太郎」鈴々舎馬るこ
(仲入り)
「ブラック版たがや」立川キウイ
「鮑のし」鈴々舎馬るこ

 お客さんは10人ちょい超えたくらいだったかな。

 馬るこさんを生で見るのは三回目。

 キウイさんは,2011年7月19日,中野ZERO小ホールでの「立川キウイの真打昇進の会」から,お江戸上野広小路亭での「立川キウイの会」に半年ほど通ったが,職場がある新宿の道楽亭,ミュージック・テイト,レフカダなどでの他の人の会がメインになり,いつしか足が遠のいていた。久しぶり。

 名前を聞くのも初めてだったひとみちゃん。大須演芸場定例寄席レギュラーメンバーの「艶歌シャンソニエ家元」だとか。マシンガントークで有名らしいのだけれど,この日は比較的まったりした感じだった。おもしろかったな。

 あぁ,だめだ。落語のことをあんまり覚えていない。

 打ち上げは私を含め比較的年配のお客さんが三人。一人は馴染みらしい女性。もう一人の男性は数日前に初めてキウイさんの高座をみて「おもしろい」と思ってこの会に参加したとのことです。
 芸人さん三人と大須演芸場の話題でそこそこ盛り上がった。

 ところで,仲入りや打ち上げで当然のようにDVD「腐った果物」を販売していたのだけれど,一枚も売れていなかった。何だか流石だ。
 私は流れで買ってもいいかと思っていたのだけれど,それほど強くは勧めてこない。それに,どうせなら一枚売れるより一枚も売れない方が面白いかなぁと。

 その後,とある方のご好意でDVDを鑑賞した。キウイさんだけではなく,馬るこさんや快楽亭ブラックさんの高座。隠す気の無いモザイク処理や匿名で登場するゲストコメンテーターのインタビューなど,「立川キウイ」という存在に何らかの興味がある人には見所満載。お買い得かもしれない。

 それにしても,このDVDの内容に怒りもせずむしろ嬉々として宣伝するキウイさん。やっぱり何だか流石だ。

シェアする落語 第5回 瀧川鯉八@古石場文化センター

2014/02/15(土)15:00(前日の大雪のため一時間繰り下げ) 古石場文化センター3F第一和室

「それそれ」
「暴れ牛奇譚」
(仲入り)
「シェアタイム」鯉八×四家(主催)
「カエル」

 朝07:10,午前中の仕事のために家を出る。前日からの雪で横浜の自宅周辺は越後産まれの私が緊張感を強いられるレベルの雪道。昼過ぎに妻と合流して会場に向かうつもりだったが,自宅最寄駅までの起伏の激しい雪道は妻には過酷と私判断で一名キャンセル。

 都内の積雪はいくらか少ないが,雨でぐちゃぐちゃの状態で始末が悪い。

 会そのものは当初予定の14:00から一時間遅れでの開催が決定。主催者にとっても難しい判断だったと思う。少なからずキャンセルも出たでしょうが,前日当日の申し込みもあったようで,結果的には満席に近かったのではないか。

 私の鯉八体験は六回目,生で聞くのは四回目。

 始めは2011年のNHK新人演芸大賞。他の出場者も演目も何も覚えていないが,「歪んだ人がすべった」という強烈な印象だけが残った。(後日,ご本人には「歪んだ人が」を除いてお伝えした。)

 ちなみに「シェアする落語」の主催者・四家さんもこの放送きっかけで鯉八さんに注目したようです。やはり,見る目が違う。

 その後,四家さんのブログでの評価の高さに,正直「エッ,あの人だよね?」と半信半疑。というか三信七疑くらい。四家さんは信頼するにしても好みの問題もあるし。

 「暴れ牛奇譚」を初めて聞いたのは,鯉八さんでではなく去年九月横浜での桂宮治さんの独演会。強烈だった。宮治さんにとって初めての新作挑戦。鯉八さんが自作をご自身以外に許可したのも初めてだと聞いた。
(あぁ,そういえば宮治さんを聞くようになったきっかけも四家さんだったのだ……)

 そして昨年10月,柳家ろべえさん,立川談吉さんとの三人会でようやくご本人の「暴れ牛奇譚」を聞いた。不覚にもサゲで吹いてしまった。
 その後宮治さんとの二人会で二度拝見し。この日が初独演会。鯉八さんは独演会自体が珍しいようです。

 この日の演目「それそれ」「カエル」は三日前のレフカダの二人会で聞いたばかりでしたが,「またか」ではなく「きたか」となる面白さ。

 仲入り後の演目は直前まで迷っていたようで,私個人的にはシェアタイムでも話題になった,全く覚えていないNHK新人演芸大賞で演じた「雨傘和尚」が是非聞きたかったのだが,またいずれどこかで……

 鯉八さん。独演会でも面白かったなぁ。私にとって聞く機会の少ない新作のみならず,知る限りの落語の枠の中でも,最も面白い部類の落語と落語家さんに出会ってしまった。どうしよう。もうそろそろ,時間的経済的に追いきれなくなっているのに。

 次回のシェアする落語も危険な香りがするんだ。

「どうらく息子」寄席@深川江戸資料館

2014/02/13(木)18:45 深川江戸資料館

「平林」春風亭一力
「弥次郎」桂宮治
「初天神」春風亭ぴっかり☆
「口入屋」林家時藏
(仲入り)
「トーク」尾瀬あきら(「どうらく息子」作者)×林家時藏
「死神」柳家三三

 漫画「どうらく息子」に因んだ会で,時藏さんが主催。何度か開催されたようですが,この日が最終回。
 協会メンバーに,独り芸協の宮治さんという顔付けが面白いのと,三三さんの出演に惹かれて出かけてみた。
 宮治さんもこの漫画に取材協力で名前が載っているらしい。監修が三三さん。

 今年二つ目にあがる前座の一力さんは,明るく聞きやすく良かった。
 前座さんも充分に面白いなぁと思ったが,次の宮治さんの面白さは段違い。二ツ目二年生,前座さんとは違うということか,宮治さんが特別なのか。
 続くぴっかり☆さん,時藏さんも面白く,仲入りをはさんでトーク。トリで三三さん。

 三三さんを生で見るのは二回目。前回は二年前の三月「渋谷に福来たるSPECIAL」。他に桃月庵白酒・柳家喬太郎というスター揃いだった。前座は入船亭辰じんさん。今の小辰さん。

 その時の三三さんの演目は「明烏」。一緒に見た妻が,時次郎を吉原に送り込もうとする大旦那をにらむ奥さんの顔が気に入って,今でも真似しようとする。全然出来ていないけれど。
 その後はテレビで時々拝見するばかりだった三三さん。久々の生を楽しみにしていた。

 三三さんの高座が始まってから入場したお客さんがいたようで,軽~く弄る。宮治さんの弄り方とは趣きが違う。笑いの量や密度で言えば宮治さんの方が勝っているかもしれない。

 でも話が進むうちに,私は三三さんの世界に捕り込まれ,そんな状況でぼんやり別の事を考える。

 最近はお気に入りの二ツ目さんを聞く機会が多く,特に宮治さんは常に間違いなく面白い。でも,前座さんと宮治さんが違うように,二ツ目の宮治さんと真打 の三三さんの間にも明確な差がある。当たり前のことだし,この駄文が宮治さんの目にとまっても怒られることもないと思う。

 話はここから。私はそのとき前日のレフカダで鯉八さんを評した宮治さんの台詞を思い出た。
「三三師匠なら爪痕の付けようもあるけれど,鯉八さんはどうしていいか判らない。」
 これは,自分とは違う方向で模索している鬼才瀧川鯉八さんへの賛辞だ。
 同時に,タイプは違うといえど,同じ古典の道で遥かに先を進む三三さんに対して,現時点では及ばないという自覚と,それでも爪痕くらいは残すという気概が溢れ出た台詞だったんだと,このとき改めて思い当たった。

 私にも判る三三さんの凄さ。いわんや宮治さんにおいておや。
 三三さんの死神に惹かれながらの妄想。宮治さんが大きな壁に爪をたてて攀じ登っている。頂は遥かな高みで,その壁はなお日に日に高さを増していく。登れ ば登るだけ遠ざかる頂。いつか,その頂に手がかかっても,その向こうにはまた別の更に高い壁が幾重にも立ちはだかっている。
 そんな画を思い浮かべたら胸が痛く,目頭が熱くなってしまった。厄介な途に踏み込んだものだなぁ。

 まぁ,そんな苦しみは演者さんにまかせて,こちらは余計なことを考えずに,ただ笑いたい。そんなときこそ宮治さんの落語がいい。
 26日(水)は横浜市民としてははずせない「のげシャーレ」での宮治さんの独演会。妻と一緒に出かける予定。
 前回は「暴れ牛奇譚」で驚かせてくれた。今回は何を演ってくれるかな?

※同日,東京ドーム公演を予定しているストーンズには,昨年の「独演会ですゥ 秋」とのバッティングで痛い目にあったポールが忠告してあげたらいいのに。

れふかだ落語会 鯉八・宮治二人会 第三回@レフカダ

2014/02/12(水)19:00 レフカダ
「花色木綿」桂宮治
「それそれ」瀧川鯉八
(仲入り)
「かえる」瀧川鯉八
「明烏」桂宮治

 宮治さん登場。客席にお馴染みのTさんの姿は見えなかったが,いつもとは違う声での「戸越銀座」の声がかかる。
 続いて登場の鯉八さん。床屋に行ってきたとのことでしたが,右のモミアゲが跳ねていたのはわざとだろうか?

 お二人の触れ幅の大きな世界観に翻弄されつつも,滅茶苦茶面白い会だった。

 打ち上げに残ったのはオッサン二人。演者を交えてオッサン四人でどーするんだと思っていたら,妙齢?の美女二人が舞い戻って参加。
 他の落語家さんの噂話やら,バブルの話やら,AVの話やら。

 鯉八さんはこの日で三回目だったけど,やっぱり面白い。土曜日の「シェアする落語 第5回」がますます楽しみ。

第15回『宮治展』@西荻窪・カフェギャラリーK

2014/01/25(土)15:00 ギャラリーK

「金は天下の回りもの(持参金)」桂宮治
「権助提灯」桂宮治(ネタおろし)
「粗忽長屋」立川談吉
(仲入り)
「花色木綿」桂宮治(ネタおろし)

 嘘と悪口で塗り固めたトークで始まり,最後まで笑いっぱなし。
 以前購入した宮治さんのDVDを持参し,前日の談吉さんに続き,宮治さんにも初のサインをいただく。

 あまり馴染みの無い顔ぶれが多かった打ち上げでは,アウェー感に押されて飲みすぎた。
 この日の高座で談吉さんがボケとツッコミの話題に触れていたが,たまたま直前に聞いた東京ポッド許可局でもボケとツッコミの話をしていたなぁと,そんな事を談吉さんと話してみたいと思っていたのですが,落ち着いてお話できぬまま,談吉さんは一足先に退席されてしまった。残念。
 BMWの自転車が心配だったのでしょうか。

 それにしても,「持参金」はやっぱり好きになれないなぁ。

「増補 談志が死んだ」刊行記念 談志最後の弟子 立川談吉 落語&トーク@ブックファースト新宿店

2014/01/24(金) ブックファースト新宿店
ジョーク
「よかちょろ」
トーク
サイン会

 お客さんも入り,「談志市場」のビデオカメラも入り,トークも弾み,短時間ながら楽しいイベントでした。
 談吉さんにサインをいただいたのは初めて。

新春 桂宮治独演会@経堂コジコジハウス

2014/01/12(日)15:00 経堂コジコジハウス

「看板の一」
「お見立て」
(仲入り)
「百川」

 私にとって今年初の桂宮治さんの落語会は「戸越銀座!!」の掛け声無しで何だか寂しい。宮治さんも気になる様子。

 この日の宮治さんは国立演芸場から駆けつけたとのことで,会場の差に毒舌炸裂。(店長には「冗談ですよ」とフォローしていたが,実はお客の中にビルのオーナーが居られたというオチ。)

 このお店では何度も落語会を開催されているようですが,季節的な条件の違いなのか,この日の窓側客席はまともに日差しが入りかなり眩しい状況で,一席目の終わりで急遽窓に黒い布を貼る。
 宮治さんの背後も窓で、市松模様の布が張られていましたが逆光気味。宮治さんの動きにつれて輪郭がモザイク状にチラチラしてデジタル感覚。

 話の方は三つとも抜群の面白さ。20人ほどが残った打ち上げでもハイテンション。打ち上げ途中にたまたま来店した若いカップルも巻き込み店中を盛り上げ続ける宮治さん。今年もこの調子で駆け抜けるのでしょうか。壊れないでね。

※打ち上げでワインをこぼしたシャツを自分で洗って生乾きで着てたけど,風邪を召されませんでしたかね?