シェアする落語 第6回 三遊亭粋歌@古石場文化センター

2014/05/17(土)14:30 古石場文化センター

「コンビニ参観」
「影の人事課」
シェアタイム(主宰:四家さんとのトーク・撮影)
(仲入り)
「恋するヘビ女」

 朝一番の用事の後,会場へ向かう。良い天気。前回の鯉八さんの会は大雪の翌日で,途中でスニーカーをグチョグチョにして歩いている鯉八さんに会ったのだったなぁ。

 さて,会場着。受付で確認すると,先に来ている筈の妻が未着。道に迷ったらしくギリギリで到着。

 流石に前方の席は埋っていて後ろから三列目。程よい広さの会場なので見辛いということはない。

 この会をより楽しむための粋歌基礎知識として「コンビニ参観」と「影の人事課」は一度づつ聞いていた。「恋するヘビ女」は初めて。しかも,「恋するヘビ女」は粋歌さんの自作ではなく三遊亭白鳥作。
 何度聞いても面白いのが落語。しかも演者としての粋歌さんも聞けるという個人的には理想的なバランス。

 いや,面白かった。
 「ママ」や「セクハラ上司」「ヘビ女」のような判りやすいキャラクターは類型的だがくどくないギリギリの演技。その他の登場人物も実は細かく演じ分けていて,声のトーンだけで誰の台詞なのか判りやすい。

 私が新作をあまり聞かない理由としては,何人もの演者に磨かれて普遍性を獲得している古典とは異なり,作者のむき出しの独り善がりに付いて行けない事が多いからなのですが,粋歌さんの新作は彼女にとって身近な話題を活かしつつも,かなり冷静に構成しているようで話の世界観に浸っていられる。
 もしかすると,女性視線の話だからこそ,男性である私との埋められない隙間が適度な遊び(「ハンドルの遊び」とかの遊びね)となっているのかも。快適なツーリングを楽しめました。(例えが下手!)

 惜しむらくは,当然のように最前列に陣取るつもりだったので,iPhone以外にちゃんとしたカメラを持参せずシェアタイムの撮影は諦めて打ち上げで写真を撮らせていただこうと思っていたのに,話が盛り上がって忘れてしまったこと。
弥勒菩薩のような神々しい(実はヘビ女の)粋歌さんの画像は沢山シェアされると思いますが,私服の粋歌さんも可憐な乙女でした。

 「コンビニ参観」のサゲについては是非聞きたいことがあったのだけれど,これも忘れてしまったなぁ。また,何れ何処かで機会があれば聞いてみたい。

新作カフェ Vol.5 瀧川鯉八独演会@らくごカフェ

2014/05/11(日)13:30 らくごカフェ

「天才男」瀧川鯉八
「都のジロー」瀧川鯉八
「水屋の完全試合」春風亭百栄(ゲスト)
(仲入り)
「春眠」瀧川鯉八

 「コソコソからオファーが来ない,携帯電話が壊れているのか」とブツブツ。
 「独演会に来てくれるのだから100%ですよね?」と愛してくれアピール。

 私にとっては今年2/15の「シェアする落語」以来の鯉八さん。やっぱり面白かった。
 15:10ころには終了。独演会慣れしていないためか,最後に「どうやって締めたらいいんですかね?」と客に聞くというグズグズぶりもチャーミング。もう少し聞きたかった。

 来週の日曜日は5/18で「コイハチの日」。渋谷で鯉八さんの会があるのだけれど,いつの間にか完売になっていた。残念。

負けてたまるか!? 立川こはる vs 桂宮治@道楽亭

2014/04/30(水)19:00 道楽亭

「オープニングトーク」
「風呂敷」立川こはる
「狸賽」桂宮治
(仲入り)
「禁酒番屋」桂宮治
「一文惜しみ(五貫裁き)」立川こはる

 このあと真夜中にコソコソしなければいけないらしい宮治さんは,こはるさんの口演中に道楽亭を抜け,ミラクルあがりの○吾さんと一緒に談○さんが待つお台場へと向かったもよう。
 そちらに気を取られた(本人談)ためか,狸賽でポカポカと躓くが回収。

 翌日(5/1)から始まる末広亭の「柳家小蝠・神田京子・べん橋改メ春風亭柏枝 真打昇進披露興行」では番頭を務める宮治さん。寝る暇もないようですが,体には気を付けてください。

 宮治さん不在の打ち上げは,着座としては限界近い20人ほどのお客さんが残り,こはるさんを囲んで穏やかに平和に盛り上がりました。

※らしからぬ落ち着いた雰囲気の飲み会となったためか,お客さんからの差し入れのワインをついつい飲み過ぎて,一足先に失礼したにもかかわらず,帰宅後に予定していた作業も出来ず,お風呂で溺れかけたのは私です。

※オープニングトークで宮治さんのお嬢さんがテレビを見ていたときのリアクションの話で,「ブラウン管越しに」って言ってたけど,宮治家のテレビはブラウン管なのか気になっている。

夢吉・宮治 二人会@ミュージック・テイト西新宿店

2014/04/24(木)19:30 ミュージック・テイト西新宿店

「熊の皮」三笑亭夢吉
「花見の仇討」桂宮治
(仲入り)
「弥次郎」桂宮治
「突き落とし」三笑亭夢吉

 夢吉さんの高座を拝見するのは二回目。前回もこの会だった。面白いねぇ。

 この日,にっかん飛切落語会の最優秀賞受賞が発表された宮治さんだけど,トーンが重かったのは単にお疲れなのか。
 でも,話に入ればいつもの面白さ。「花見の仇討」は一昨日より笑いが増えていた。
 にっかんでは「安定感」を評価されていたけど,安定してあのテンションを供給すれば,そりゃ疲れるか。

 客席にヒロセさんの姿。一昨日の会場でもお見かけしたけど。

挑戦!新・宮治本舗@国立演芸場

2014/04/22(火)19:00 国立演芸場

「オープニングトーク」桂宮治
「馬大家」滝川鯉○
「片棒」桂宮治
「花見の仇討」桂宮治
「人生が二度あれば」春風亭昇太
(仲入り)
「妾馬」桂宮治

 「器が人をつくる」などと申しますが(申す……かな?ちょっと心許ない……),流石にオープニングトークから「片棒」のまくら辺りでは,器の大きさをはかりかねていた感がありましたが,そのうちに器の隅に手が届いたのでしょう,いつもの調子で廻し始めた。

 いい感じで「花見の仇討」を終えて宮治さんがおりると,流れてきた出囃子は「デイビー・クロケット」。
 最近,宮治さんの会に行くと,ご自身の出囃子「阿波踊り」ではなく「デイビー・クロケット」が流れることが多いのだけれど,この日はご本人登場。
 正直なところゲストはいらないと思っていたのだが春風亭昇太さんであれば得した気分。いやー,やっぱり面白いや。

 仲入り明けで既に21:00近い。すぐ終わりますから,といって始めた「妾馬」。結構詰めているのかな。本寸法を把握していないのでわからないのですが,不自然な流れではなかった。
しんみりのシーンは割にあっさりとした感じだったけど,宮治さんの目が潤んでいたようにも見えた。あれ,じっくりと演じたら,本人が号泣して落語にならないんじゃないかな。そんなこともないか。
 うん,良かったよ。宮治さんの落語で泣く日が来るとはね。
涙を流したのも不覚だが,宮治さん演じる殿様がキリッとしたいい男に見えたのも,どうも納得いかないな。

 終わったのが21:30。

 総じて良い会でした。同行の妻も大満足の様子。
 ちなみに私は最前列にいたのですが,後方の席でどんな感じに聞こえるのか見えるのか,ちょっと気になる。宮治さんの落語を遠くから聞いたことはないからなぁ。

 次回は7/29日。「国立演芸場で桂宮治の独演会」ってところにもはや違和感はないので,ってことはそれ自体に新鮮味はないのでプラスαに期待。

萬橘・こはる二人会@ミュージック・テイト西新宿店

2014/04/09(水)19:30 ミュージック・テイト西新宿店

「雑俳」三遊亭萬橘
「強情灸」立川こはる
(仲入り)
「寄合酒」立川こはる
「湯屋番」三遊亭萬橘

 妻が平日夜の会で都心まで出てくるのは珍しい。こはるさんの会は何度か一緒に見ているが,萬橘さんも昨年四月の「大手町落語会NEO! Ⅱ」で一緒に見たときの印象で気に入っていたようす。

 テイト近くのフレッシュネスバーガーで待ち合わせて腹ごしらえ。最前列が好きな妻の希望で,開場30分以上前にテイトへ。未だ営業中の店内を少し覗いてから,早々に横の入り口に並ぶ。当然先頭。
 程なくこはるさんがやってくる。お客さんが二名増えて行列らしくなる。更にしばらくして萬橘さんも到着。

 開場。上手最前列を確保し落ち着く。気づくと,高座下手真横にも椅子が二つある。この日は完売と聞いていたけれど,これが噂の成金フォーメーションかな。能舞台か。
 妻がその席に興味を示す。移ろうかと話しているタイミングで他のお客さんに座られた。残念。

 開演。先ずはお二人のトーク。下手側はマイクスタンドがあったので,我々の目の前,至近距離にお二人が立つ。
 萬橘さんが35歳だという話にちょっと吃驚。もう少し上だと思っていた。私以上に妻が過剰反応。年下だとは思わなかったらしい。その様子をこはるさんに指摘され,萬橘さんにいじられる。

 萬橘さんもこはるさんもよかった。
 こはるさんは程いい距離感の先輩の胸を借りてのびのび。
 萬橘さんの湯屋番の序盤,若旦那が仕事先として自ら湯屋に行くというのは聞いたことのないものだった。
 サゲも初めて聞くかたちだけど,あれは萬橘作かな。らしい感じで面白かった。

第二回 こはるパラダイス築地編@ブディストホール

2014/03/31(月)19:00 築地本願寺・ブディストホール

「桃川」
(仲入り)
「梅若禮三郎」

 雨にふられた前日の「志の吉改め 立川晴の輔真打昇進披露落語会」の話。
 この日が最終回の「笑っていいとも!」が始まった,まさにその月がこはるさんの生まれ月だったという話。
 その特番があるせいでキャンセルが出たと冗談めかしておっしゃっていましたが,ありえるかな?ちなみに,私は録画するつもりで忘れました。客の入りはまぁまぁ。
 お馴染みの地元の大國魂神社の「くらやみ祭り」の話から「四神旗」「四神剣」,そして百川へ。

 こはるさんの「百川」を聞くのは二回目か。師匠とは違う形のように思えるのですが面白い。

 他の人を含めても初めて聞いた「梅若禮三郎」。三遊亭圓生さんのCDだと二枚に亘る長い話のようですが,こはるさんは30分にまとめたとのこと。(実際にはもう少し長かったかな。)
 上・下などに分けて演じることもあったようですが,おそらく全話通しで部分的に刈り込んだ感じ。その上でこはるさんが加えた部分もあったようです。
 流れとしてしっくりこないところもありましたが,こはるさんならではの語り口の心地よさで面白く聞きました。本人がおっしゃった「話を追うのに精一杯」の状態を抜ければ,もっと良い話になりそうです。

 こんな話をまた掘り出して欲しいと思います。

こはる十二支の会 午年の巻 その壱@お江戸両国亭

2014/03/21(金・祝)18:00 お江戸両国亭

「道具屋」立川笑笑
「権助魚」立川こはる
「お見立て」桂宮治
(仲入り)
トーク
「看板のピン」桂宮治
「不動坊」立川こはる

 笑笑さんの高座を聞いたのは初めて。明るい高座で好ましい。頑張ってください。

 今年のゲストである宮治さんはいつもの調子。安心する。

 こはるさんはどうしたのかな。明日の築地に期待。

粋歌のあの新作この新作@落語協会

2014/03/20(木)18:30 落語協会二階

「保母さんの逆襲(林家彦いち作)」
「二人の秘密」
(仲入り)
「影の人事課」

 粋歌さんを生で体験するのは二回目。前回は2012年8月道楽亭。立川こはる,桂宮治,三遊亭粋歌,古今亭志ん吉の四人の会だった。
 暫く前から聞き始めていたこはるさんと,その頃落語会で時々顔を合わせていた人が強く推していた宮治さんが出演するということで出かけた。
 その会で私はまんまと初見の宮治さんにはまったのだったなぁ……

 その時のネタは「人祓い神社」。題材に苦手な要素があり楽しめなかった記憶があるが,ここ最近,前述の知り合いがご自身のブログで粋歌さんを強く推している。影響され過ぎとは思うが気になるので,五月に開催される粋歌さんの独演会を予約した。
 その前に一度くらいは見ておきたいと思っていたら18日の「らくごくら」で,昨年三月収録の高座が放送された。「銀座なまはげ娘」。

 続いて,20日にゲリラ的に開催されたこの会。
 不安な気持ちで初めて落語協会の建物に入る。落語協会に入るのが不安なわけではなく粋歌さんを聞くのが不安。少ない体験から粋歌さんの話はせつないのではないかという印象があり,私は「せつなさ」に弱い。

 時間調整しつつ開場時刻ぴったりに到着で一番乗り。徐々に人が増え開演時には結構な入り。例の方や他の顔見知りもおられたのですが「せつなさ」に怯える私は独り開演を待つ。

 いざ,開演。会場と私の間に温度差がある。会場がドッとわいているタイミングで笑えない。期待し過ぎからの期待外れとかではなく,私の身構え過ぎ。「せつなさ」に腰が引けている。

 「保母さんの逆襲」で少しほぐれたところに,会場からのリクエストにこたえる形で「二人の秘密」。

 先妻が亡くなったのは30年近くも前のことなのに,ふと未だに片付かない気持ちの乱れに躓いてしまうことがある。
 沢田知可子さんの「会いたい」みたいなあからさまな表現であれば避けられる。ちょっと視点は違うけれど柳家喬太郎さんの「ハワイの雪」ならば嫌いな話として耐えられる。
 でも「二人の秘密」,これは駄目です。逃げられません。

 というわけで,身も心も硬化しつつ辿り着いた仲入りで体勢を立て直す。

 「影の人事課」は笑えた。けれど,何だか疲れたので,終演後に皆さんが会場の片づけを手伝う中,そそくさと会場を後にする。

 さて困った。私はよる年波で,涙脆くなっていることもあり「せつなさ」に弱い。滅法弱い。でも「弱い」=「嫌い」じゃない。酒に弱いひとが酒嫌いとは限らない。
 いっそ嫌いならば聞かずにすむけれど,素敵なせつない話は聞きたい。人目をはばからなくてよいのであれば,むしろ好きなのかも。

 素敵なせつない話には作り手の観察力と語り手の表現力が不可欠で,粋歌さんにはこの二つが備わっているらしい。(表現力は未だ未だ伸びる余地があると思うけど。)

 さても悩ましい今後の対粋歌さん対応はおいおい考えるにしても,先ずは五月の独演会だな。
 どんな演目になるかは判らないけど,おそらくどの演目にも「せつなさ」が潜んでいる。せつなさに浸れるようにメンタルを鍛えて挑みます。

第五回 談吉百席@サンライズホール

2014/03/08(土)19:00 東池袋サンライズホール(晴)

「たらちね」
「半分垢」
(仲入り)
「おせつ徳三郎」

 いろいろな女性の話。

 「たらちね」では序盤の「ふぐ」にはまる。談吉さんがバナナの皮を置いたところが見えたのに,まんまと踏んじゃったなぁ。

 清女さん(略)はゆったりとしたテンポの言い立てで「丁寧な言葉遣い」が際立つ。

 談吉さん自身も言及していたように,現代では判り辛いオチではあるけれど,だからこそ言葉の面白さ心地よさを感じられる。全く変えないというのもどうかと思うが,このあたりの談吉さんの判断が私にとって具合がよい場合が多い。

 「半分垢」のおかみさんは,前半で久しぶりに修行から戻っただんなの自慢を嬉々として並べ立てるが,度が過ぎたことを当のだんなに怒られ,後半は木で鼻を括るような表情・口調で前半とは真逆の説明。単純で極端な拗ね方が愛らしい。
 「馬を履く」という画が浮かんでこないが,腑に落ちなかったり辻褄が合わないままの方が面白いこともあるということです。

 仲入りでは五月公開予定の談吉さん出演の映画「ヨシナカ伝説~義仲穴」の秋原監督が「舞台挨拶付き上映会」のチケットを販売。結構売れていた様子。私も二枚購入。

 「おせつ徳三郎」のおせつと徳三郎は,前半では想像を超える罰に怯える定吉の台詞で描かれるだけ。
 後半は主に徳三郎の出番となるが,おせつは最後の最後にようやく登場。
 思いつめて心中という場面での浮世離れした台詞がおかしい。オチともいえないような終わり方だけれどいいね。あれ,思い出したらウルッときた。

 次回「第六回談吉百席」は6月7日土曜日。ますます楽しみ。