第8回 要町落語会・桂宮治の会@要町一丁目会館

2015/02/21(土)14:30 要町一丁目会館
「道灌」
「禁酒番屋」
(仲入り)
「花見の仇討」

広いとは言えない時代のついた町内会館での迫力の熱演でしたが,押し付けがましさや圧迫感は無く,くどくなるギリギリの絶妙な匙加減で,新作漫談も含めて全てが面白かったなぁ。

開演前にHPの打ち合わせで顔を合わせたので,未だ聞いたことが無い「徳ちゃん」をリクエストしておいたのだが,その後別のお馴染みさんと会って「最近,徳ちゃんばっかり聞いてる」と言われたらしく,私のリクエストは却下された。

「どいつもこいつもうるさい客」だと毒づかれたわけだが,打ち上げに残ったのはそんな客ばかり。

客席には何人もいたはずの女性客はおろか,女性スタッフも参加せず。

お席亭を含めたおじさん9人の飲み会で,宮治さんは客に気を使わず羽を伸ばす。
とはいえ,このメンバーは「桂宮治に気を使われない客」であることが嬉しいという,面倒くさいメンタリティーの客揃いなので,そんな宮治さんをニコニコと眺めている。
客の心理を知り尽くした宮治さんの高度な接遇,敢えての気の使わなさである。

この日の早朝に新潟からの深夜バスで東京に戻り,横浜の自宅で仮眠を取って出かけてきた私は,さすがに早めに退席したが,むさ苦しくもお気楽な打ち上げも込みで,楽しい落語会でした。

渋谷らくご@ユーロライブ

2015/02/15(日)14:00「渋谷らくご」@ユーロライブ
「厩火事」柳家わさび
「清水次郎長伝 お民の度胸」玉川奈々福 / 玉川みね子
「狸の鯉」立川志ら乃
「うどんや」柳家喜多八

2015/02/15(日)17:00「渋谷らくご」@ユーロライブ
「反対俥」桂宮治

 11月の「渋谷らくご」立ち上げ時に購入したものの,それ以降タイミングが合わずに使っていない回数券。この日は昼夜で予定を入れていたが,夜,自宅マンションの管理組合会議が入り,最後まではいられない事になった。

 新宿での仕事を昼過ぎで終わらせて,渋谷に向かう。渋谷で迷う。渋谷嫌い。会場に着くと既に開場していたが,最前列が空いていた。

 わさびさんは笑点の若手大喜利で何度か拝見したことはあるけれど,生は初めて。凄いな,顔が。面白かった。

 浪曲を生で聞いたのは初めて。「ヒロサワトラゾウ」の名前は聞いたことはあるけれど,いきなり言われてもそりゃあんな反応しか返せない。
 奈々福さんも良かったけれど,みね子さんの合いの手と三味線に痺れる。私ぐらいの世代だと無自覚であっても僅かながら刷り込みがあるんだろうな。カッコいい。

 志ら乃さん,喜多八さんはいうまでもなく楽しいが,志ら乃さんの出だしでの喜多八さん以上の,いや以下の?テンションの低さが面白かったなぁ。

 ロビーで時間を潰して,そのまま夜の部。途中退席が前提なので出口近くの最後列に座ろう思ったけれど,客も疎らだし,宮治さんの後は浪曲なので台や椅子の用意で少し時間がかかるだろうと都合良く自分に言い訳して最前列通路寄りに座る。

 宮治さんはお馴染みの愛にあふれた春風亭昇太さんネタとお嬢さんの話からの「反対俥」。
 あれはもう意図的にサゲに見せかけた「芸者を揚げる」の件で,一人のお客さんの拍手を誘ったうえで更に続けるが,何故かここから実際のサゲまでの短い部分で乱れる。
 苦笑いで高座を降りる宮治さんを見届けて,立って出口に向かうと,出口付近の席に会のキュレーターであるサンキュータツオが座っていた。途中退席してゴメンナサイと心の中で詫びながらダッシュで帰宅。結果的にはもう一人聞いても間に合ったな……

 次回「渋谷らくご」の宮治さんは16日の「まくら王」か。

集まれ!前座さん応援団「未来の名人を聴け」第24回@道楽亭

2015/02/14(土)18:00「集まれ!前座さん応援団『未来の名人を聴け』第24回」@道楽亭
「たらちね」立川寸志
「狸の鯉」桂竹のこ
「山号寺号」快楽亭ブラ坊
(仲入り)
「まめや」立川寸志
「千早ふる改」桂竹のこ
「のめる」快楽亭ブラ坊

 二ツ目目前の寸志さん。流石の面白さ。実際には細かなミスもあるのだけれど,気にさせないところが凄い。「まめや」のサゲが腹立たしい。

 竹のこさんの「狸の鯉」。この話自体を初めて聞いた気がする。
 「千早ふる」は元の話も強引だけど,輪をかけて強引な再解釈で面白い。ただ,もっとそれなりの整合性を上げると更に面白くなると思うな。

 ブラ坊さんは「のめる」をネタおろし。素直に丁寧に演って良い感じ。

※腹八分目の伝説の唐揚が気になった。

立川談吉 だいじな会 Vol.22@ミュージック・テイト

2015/02/10(火)19:30「立川談吉 だいじな会 Vol.22」」@ミュージック・テイト
「子ほめ」
「しわいや」
「孝行糖」
(仲入り)
「寝床」

 開演暫くして喉に問題発生。なんとか「子ほめという技」を繰り出し終えて,珍しく高座でペットボトルの水を飲むが,おもわしく無い様子。

 そのためか「孝行糖」を「しわいや」に変更したようだ。初めて聞く話だったのは儲け物。

 その間にある程度持ち直したようで「孝行糖」も。

 仲入り後の「寝床」はネタ下ろしということだけど,こちらとしても喉の調子が気になって出来がどーこーどころではないままに終了したけれど,手応えとしては次回に期待してよさそう。

イキのいいのが五人会@深川江戸資料館・小劇場

2015/01/28(水)19:00 深川江戸資料館・小劇場
「看板のピン」三遊亭わん丈
「二番煎じ」桂宮治
「宮戸川・上」三遊亭萬橘
(仲入り)
「鮫講釈」立川こはる
「初天神」三遊亭天どん

 「どーせ見るなら最前列で!」がモットーの妻。
 「こんな面白い人たちが揃うんだから,凄い行列だよー!」と前々から言っていたが,どうやら16:30頃には会場に着いたらしい。当然,一番乗り。
 私は仕事終わりで直行。18:00頃に合流。顔を覚えてくれていたこの会の主宰・道楽亭のスタッフさんから「お待ちかねですよ。」と声をかけられた。別に私を待っていたわけじゃないが。

 この時点での待ち人は未だ数人で,ロビーにばらばらに座っていたが,次第に増える客を見てスタッフから順に並ぶように指示があり先頭に並ぶ。

 予約では半分くらいしか埋まっていないから,どうしても最前列に座りたいというのでなければ慌てなくても大丈夫ですよ,とスタッフから説明があるが,こちらはどうしても最前列に座りたいのだ。

 開場時には30人くらいか?の行列が出来たが,当然先頭の我々は余裕で最前列中央やや上手よりを確保。開演時刻になっても空席が目立つが,半分て事は無いかな。
 
 わん丈さんは初めて。面白い。
 前座として声をかけられたのだと思っていたが,チラシを見たら「五人会」となっていて驚いた。嬉しい。けれど,役割はいつもと同じ前座仕事だと。

 宮治さんは先日の国立でネタ下ろしをした「二番煎じ」。
 いつものような漫談は無しで話に入る。酒を持ち込んだ黒川先生に怒る月番の件が,ちょっと強くてくどいかなとも思うけれど,そのうち良い加減を見つけてくれるはず。
 それにしても宮治さん,爆笑の毒舌漫談無しでもキッチリ面白い。やっぱり落語が巧いんだよね。

 萬橘さんは昨年四月,テイトでのこはるさんとの二人会以来。あの時も妻と一緒で最前列だった。
 最前列と言ってもテイトの最前列は最前列ぶりの桁が違う。オープニングトークで目の前のお二人が年齢の話をした時に,萬橘さんが自分より年下だと知った妻の動揺をご本人からつっこまれたのは彼女の良い思いで。
 さて,この日の演目は「宮戸川・上」。どうも「下」の印象が強過ぎて引いてしまうのだけれど,そんなことは瞬時に忘れさせる面白さ。

 こはるさんは前日のお江戸日本橋亭の会の客入りが良く,ギャラ、ワリ?が二倍だったので,立川幸之進さんと夕方16:00頃から飲み始めたところ店長から年齢確認を求められたとのこと。結局,翌朝04:00頃まで飲んでいたらしい。
 こはるさんの「鮫講釈」は個人的に想い出深い話。ちょっと詰まりかけたところもあったけれど,気持ちの良い言いたてを聞かせてくれた。

 天どんさんは久々。印象深いのは一昨年四月の「大手町落語会NEO! II」。萬橘さんと宮治さんが一緒だった。
 驚くほど客が少なく,それはそれは少なく,そのせいかどうか宮治さんの次に二人目として登場した天どんさんは「百年目」をたっぷりと演じ,続いた馬るこさん萬橘さんの四人で三時間という会だった。
 その時は宮治さん目当てで妻と一緒に出かけたのだけど,それ以来,妻は萬橘・天どんのお二人にも興味を持ったらしい。

 この日の演目は「初天神」。なのだと思う。
 マクラでイジられた萬橘さんが袖からスリッパを投げ込み,更には私服で登場。悪乗りではあるけれど,場の雰囲気を読みつつの阿吽の呼吸。
 萬橘さんの「宮戸川」も不思議な「宮戸川」だったけれど,こちらの「初天神」はもう,何だろう?おとっちゃんがいやいや金坊を連れて初天神へ向かう。飴を買う。凧を買う。けれども「初天神」なのかな,あれは。
 凄く面白いからどっちでもいいんだけど。

 いや~,皆さん面白かった。それにしても, 思い返してみると,この日の宮治さんはこの上なく正統な本格派の落語家に見えたなぁ,というかそうであることが際立ったなぁ。

負けてたまるか!? 立川談吉 vs 立川笑二@道楽亭

2015/01/20(火) 道楽亭

「蝦蟇の油」立川談吉
「花筏」立川笑二
(仲入り)
「蜘蛛駕籠」立川笑二
「おせつ徳三郎」立川談吉

 談吉さんの口上は聞いていて気持ちが良い。声がよくて急がない。

 笑二さんの面白さには謎がいっぱい。些細な部分なんだと思う。言葉の選択とか間とかかな。
 改作と言うほどは手を入れていない話でも,元の話と違う印象になる。

 言葉の選択は談吉さんもまた秀逸。どおってことのない言葉だったり唐突な言葉だったりするけれど,私の弱いところを突いてくる。

 「おせつ徳三郎」のサゲは「お材木」ではなく水を飲む方なんだけど,今回は後日談を続けて大団円を明示してくれた。
 安心感が増して幸せな気持ちになり,このところ涙腺の緩みに拍車がかかっている私は少しウルッときたほど。
 ただ,あの面白いとは思えないサゲで終って,おせつが愛おしくてたまらなくなるような不思議な感覚も捨てがたいなぁ。

 打ち上げは客六人と演者が二人,見知った顔ばかり八人で小じんまりとテーブルを囲み,いつも楽しみな道楽亭さんの料理を肴に飲みながら,結構濃い話。

桂宮治独演会 新・宮治本舗 4@国立演芸場

2015/01/19(月)19:00 国立演芸場

「狸賽」桂宮治
「夢金」桂宮治
「漫才」ロケット団
(仲入り)
「二番煎じ」桂宮治

 シリーズ完結。

 前回までは開演前に緞帳脇上手側から浴衣姿で現れて前説的な事をしていたのだが,この日は無し。あればあれば,その目の前と言う絶好の席だったのに。

 白い座布団に座り深々とお辞儀。長い漫談で年明けから続いた悪い出来ごとを次々と。シークレットゲストの予定だった柳家三三さんが直前にインフルエンザでダウンしたという話は本当らしい。

「狸賽」
 本人曰く「次の話で頭がいっぱい」で単純な言い間違はあったものの,いつものだ。いつも面白いやつ。

「夢金」
 この話に出てくる侍は,私が知っている範囲での宮治さんが持っているキャラクターと違うのでどうなるかと思っていたが,流石に掴みきれていない感じで聊か手こずったか。
 でも,独自の工夫を入れ込む余裕が無い段階での落語は,宮治さんの素の力が露わになる。
 笑いが取れない場面が続いてもダレない。その話自体が持っている面白を損なわない。強いねこの人。

「漫才」
 柳家三三さんの代演でロケット団。この経緯については宮治さんが面白く(かつ慎重に)話したのだけれど,ニュアンスを損なわずに纏めるのは無理。三三さんが代演に師匠を推薦したという話の真偽は如何に。
 正直なところ,落語や宮治さんに興味があるという条件付きのお客さんの間でも,これまでのゲストや三三さんに比べると知名度は低いのか,近くの席から「知ってる?」「知らない。」といった声も聞こえてきた。
 私的にはテレビでは何度も見ている「山形では昔から日常会話で使っている」パターンは好きだったし,その他のパターンも見ることが出来て,それも面白かったので大満足。

 三三さんがゲストだったらと考えると勿論それはそれで見たかったけれど,結果的にはロケット団って正解だったんじゃないか。

「二番煎じ」
 この話を宮治さんがやったら面白いに決まっている。ネタ下ろしだからって不安要素無しと思っていたけれど,聞いてみたらやっぱり面白かった。

 終了後,涙ながらにお客さんへのお礼を述べ,全員に千社札を配るからと,そのまま舞台を降りて客席の間を走ってロビーに向かった宮治さん。一人一人にお礼を言いながら千社札(シール)を渡す。当然長い行列で混雑したロビーですが皆嬉しそう。

 帰宅後,「二番煎じ」を聞いて日本酒で一杯やりたいなと思ったものの妻からワインにしろと指導が入り(日本酒を飲むとたちが悪いらしい),宮治さんも美味い酒を飲んでいるだろうと思いつつ,会の成功を祝って勝手に打ち上げ。

 シリーズ四回通して,宮治さんの「間に合わない」だの「不安」だの何だというツイートを目にしては,陰ながら応援しつつ通い続けたわけだけど,あのツイートも含めて,桂宮治に踊らされたんじゃないかとも思いながら,次のシリーズの前売り券も買ってしまった。

どっちがドッカン! 宝井琴柑・桂宮治@ミュージック・テイト西新宿店

2015/01/04(日)17:30 ミュージック・テイト西新宿店
「山内一豊」宝井琴柑
「妾馬」桂宮治
(仲入り)
「反対俥」桂宮治
「あんぱんを食べた次郎長」宝井琴柑

 ミュージック・テイト初登場で勝手が判らず,戸惑いつつも手探りで場の雰囲気を探り探りの琴柑さんがキュート!

 宮治さんの「妾馬」,やっぱり良いよ。ちょっと切なくホロっとさせられ,最後はお目出度い気持ちになりました。
 次の「反対俥」で,そんなほんわか気分も台無しだけど,賑やかでこれはこれで良し。

 良い落語(演芸)初めでした。

立川談春 三十周年記念落語会「もとのその一」@KAAT 神奈川芸術劇場

2014/12/28(日)15:00 KAAT 神奈川芸術劇場
「夢金」
(仲入り)
「文七元結」

 今年二回目の立川談春さん。

 日頃は小さな会場で二つ目さんの落語を聞くことが多く,それはそれで十二分に面白いので,たまにこのような会に来ると,会場の広さと,それを埋め尽くす客の多さに戸惑う。何がそんなに違うのか。
 この中の10分の1とは言わぬ,100分の1でもあの二つ目達の会に行ったらいいのに,などとも思う。いくらなんでも10倍面白いわけでもあるまいし。

 二日連続の会の,この日は二日目。「昨日の出来が良かったから今日は違う話を演りたいくらい。芝浜か。」などと客を弄ぶ談春さん。演るはずもなし。

 先ずは,テレビ出演や 三十周年絡みの出来ごとをたっぷりと。
 「文七元結」が控えているからと言って「夢金」が軽いわけじゃない。と,これはご本人の弁。そりゃそうです。

 「夢金」が終わっても高座を降りないので,三席演るのかと思ったがそうではなく,仲入り後はマクラ無しでいきなり「文七元結」に入ると宣言して,その代わりでも無いでしょうがまた暫く時事ネタなど。

 さて「文七元結」。
 佐野槌の女将の存在感で,これはもはや違う話なのではないかと感じながらも,その後の橋の上での長兵衛の台詞に,やっぱり「文七元結」だよなぁ。

 女将の件はアンチならば鼻につくと思う。あれは誰に向けての台詞なんだと白けるかもしれない。
 それでも談春好きな私としては,そんな思いごと分水嶺のあちら側に転がり落ちて,やっぱり泣いてしまうのです。

 そして終わってみれば,やっぱりこの会場をいとも簡単に満杯にする立川談春は明らかに違うのだ。10倍面白いとは言わないが,諸々込みで,それ以上の違いがあるのか。

 二席で2時間50分。
 皆があの位地や方向を目指しているわけではないにしても,あんな所に行くことが出来るんだな。というか,行くことが出来る人がいるんだなぁ。遠い……

第八回 談吉百席@サンライズホール

2014/12/27(土)19:00 サンライズホール

「権兵衛狸」
「二十四孝」
(仲入り)
「鼠穴」

「権兵衛狸」は,どおってことないんだけど笑っちゃう。

「二十四孝」はこれからかな。「天災」があれだけ面白いからね。でも,私的には「二十四孝」はサゲが切なくてさ。

談吉さんの「鼠穴」は随分と久しぶりな気がする。去年は聞けなかったのかな。
黒の着物で黒背景の簡素な高座に座る談吉さん。凛としている。
出だしのアクシデントや,言い間違いもあったけれど,良い高座でした。百席で同じネタは演らないでしょうが,別の会ででも来年も聞きたいものです。