第九回 談吉百席@東池袋アートスペースサンライズホール

2015/03/14(土)19:00 東池袋アートスペースサンライズホール

「強情灸」
「弥次郎」
「浪曲」(紺屋高尾など)
「夕立勘五郎」
(仲入り)
「寝床」

 妻はお笑いや落語が好きだ。談吉さんの落語も好きなんだと思う。けれど,遠出が億劫で帰りが夜遅くなるのも好まないので都内の落語会に出てくることは珍しい。談吉百席も過去に一度来ただけ。
 今回も強引に誘う事はしなかったが,池袋に餌を発見。

<2/16-3/15 池袋ロフトで「ディック・ブルーナ マーケット」開催>
http://www.dickbruna.jp/news/201502/2484.html

 これをチラつかせて池袋まで誘き出すことに成功。となればサンライズホールはもう直ぐ,というわけで談吉百席二回目の夫婦参加。

 マクラ無しで始めた「強情灸」だったが,直後に一歩引いてジャブ。
 「弥次郎」は初めて聞く部分も多かった。
 続けて家元の話題から浪曲へ。翌日が三月十五日ということで紺屋高尾も少し。
 「夕立勘五郎」は終演後に話をした複数の方からも待望していたとの声。
 仲入り後,トリネタの「寝床」もいい感じに仕上げてきた。

 談吉オリジナルチロルチョコをお土産にいただいて帰路。

 とりたてて,あの話が!とかあの部分が!といった突出した印象よりも,総じて「とっても楽しかった」という感じ。妻も満足のようでホッと胸をなでおろす。

※個人的には,弥次郎が色々と追われ追われて,いくつもの「山を越え 谷を越え 僕らの町にやってくる」のがツボ。

※正直なところ「ディック・ブルーナ マーケット」は想像を遥かに超えてショボかった。が,それならそれでと突っ込み目線で楽しむ。父親に連れられてきていた女の子が持参していた年季の入ったミッフィーのヌイグルミの,もはや灰色だか何だか形容しがたい色合いから,如何に愛されているかが伝わって来た。

第23回 立川談吉 だいじな会@ミュージック・テイト西新宿店

2015/03/10(火)19:30 ミュージック・テイト西新宿店

「猫と金魚」
「万病円」
「目薬」(……)
(仲入り)
「死神」

 明日への階段。その一歩が昇れなかったらしい。いつも以上に悩んだというネタ選びの挙句のこの演目。

 高座でリクエスト一覧とネタ帳を睨んでいるうちに,考え過ぎてネジがとんだのか「万病円」に続いて「目薬」も演るという,常にない大出血サービスぶり。
 私が知ってる「目薬」とはかなり違って,いつかどこかで聞いた,公で演ってはいけないあのネタのように聞こえたけどね。

 「死神」の呪文,今回の選択は微妙だなと思ったのですが,消え際の死神の表情を考えると俄然面白くなった。

 今週土曜日の独演会「談吉百席」までには,とんだネジを締め直して癒されますように。いや,傷ついているかどうか知りませんけど。

負けてたまるか!? 宝井琴柑 vs 立川談吉@道楽亭 Ryu’s Bar

2015/03/07(土)18:00 道楽亭 Ryu’s Bar

「仙台の鬼夫婦~井伊直人」宝井琴柑
「千早ふる」立川談吉
(仲入り)
「孝行糖」立川談吉
「パンを食った次郎長」宝井琴柑

 私にとっては三回目の琴柑さん。講談そのものの経験値が低いので良いも悪いも判りませんが,一席目では講談の気持ちよさを実感。

 談吉さんの「千早ふる」は面白さギリギリ。

 「孝行糖」は特に後半でミスって言うほどでもない引っかかりが続きチョット気になる。
 三回しか聞いたことの無い琴柑さんなのに「次郎長」は二回目。同じ話であることは全くかまわないのだけれど,講談を聞く機会が少ない私としては,折角ならばと,いかにも講談らしい講談を期待していたのでやや肩すかし。

 客席は比較的高齢の男性率が高かったが,打ち上げでは更に凝縮。
 この席で琴柑さんに講談らしい講談が聞きたかった旨を申し上げたところ,「それなら修羅場読みを聞きに来てください」とのお誘い。検討します。

※原因不明(呪いの可能性高し)の胃炎以来,久々の普通食が道楽亭さんのお料理でした。いつも美味しい。

『よこはま宮治展』@のげシャーレ

2015/02/25(水)19:00「よこはま宮治展」にぎわい座・のげシャーレ

「オープニングトーク」桂宮治,瀧川鯉○
「狸札」瀧川鯉○
「徳ちゃん」桂宮治
「花見の仇討」桂宮治
(仲入り)
「百年目」桂宮治

 最前列確保のため新宿の仕事を一時間早く終える予定だったのに,すっかり忘れて定時まで仕事。
 結局のところ間にあって,しかもほぼ満席だったのに上手端とはいえ最前列を確保。皆が最前列に座りたがるわけじゃないんだなぁと改めて。

 開演直前,私の直ぐ近くの舞台袖から誰かが客席を覗きこんでいたけれど,あれは宮治さんだったのかな。

 二ツ目昇進間近のこの日の前座,鯉○さんの回のチラシが折り込まれていた事について一通りいじる。

 今までで最も辛かったという,この日の朝からの仕事の話。JR池袋駅で見かけた中国人観光客の話。お嬢さんの話。今だから語れる師匠,桂伸治さんの話。

 先日の要町では私のリクエストを却下された「徳ちゃん」が聞けた。
 他の人で聞いたことが有るような無いような……古典と言うよりは古めの新作なのでしょうか。
 題名が「徳ちゃん」なのに,前半は別人ばかりが話しているような印象があり,敢えて「徳ちゃん」の人となりを出し惜しんでいるのかと勝手に妄想が膨らむが,動き出してからの徳ちゃんが普通の人なのでいささか拍子抜け。
 というよりも,花魁が強烈すぎるのか。凄いなぁあの花魁。結局のところ面白かった。

 「花見の仇討」は要町に続いてだけど,やっぱり面白い。
 「百年目」を控えてるためか,あまり捏ねずに素直な高座で実力発揮。山の上で待っている浪人が下でうろうろしている巡礼兄弟を目で追う辺りとか巧いよね。

 ネタ出しの「百年目」は主宰者指定のネタ下ろしでもあるらしい。
 長めに間をとった場面で,台詞がとんだのかと勝手に心配したが,そんな訳でもなく流石の出来。。
 充分に仕上げてきたというよりも,その場で作り上げるだけの素地があるんだろうな。
 先日テレビで拝見した古今亭寿輔さんの名前が出て笑った。

 次回の「よこはま宮治展」は8月26日(水)との速報。

 帰宅後に見た,BS笑点特大号の録画でも宮治さん登場。

第8回 要町落語会・桂宮治の会@要町一丁目会館

2015/02/21(土)14:30 要町一丁目会館
「道灌」
「禁酒番屋」
(仲入り)
「花見の仇討」

広いとは言えない時代のついた町内会館での迫力の熱演でしたが,押し付けがましさや圧迫感は無く,くどくなるギリギリの絶妙な匙加減で,新作漫談も含めて全てが面白かったなぁ。

開演前にHPの打ち合わせで顔を合わせたので,未だ聞いたことが無い「徳ちゃん」をリクエストしておいたのだが,その後別のお馴染みさんと会って「最近,徳ちゃんばっかり聞いてる」と言われたらしく,私のリクエストは却下された。

「どいつもこいつもうるさい客」だと毒づかれたわけだが,打ち上げに残ったのはそんな客ばかり。

客席には何人もいたはずの女性客はおろか,女性スタッフも参加せず。

お席亭を含めたおじさん9人の飲み会で,宮治さんは客に気を使わず羽を伸ばす。
とはいえ,このメンバーは「桂宮治に気を使われない客」であることが嬉しいという,面倒くさいメンタリティーの客揃いなので,そんな宮治さんをニコニコと眺めている。
客の心理を知り尽くした宮治さんの高度な接遇,敢えての気の使わなさである。

この日の早朝に新潟からの深夜バスで東京に戻り,横浜の自宅で仮眠を取って出かけてきた私は,さすがに早めに退席したが,むさ苦しくもお気楽な打ち上げも込みで,楽しい落語会でした。

渋谷らくご@ユーロライブ

2015/02/15(日)14:00「渋谷らくご」@ユーロライブ
「厩火事」柳家わさび
「清水次郎長伝 お民の度胸」玉川奈々福 / 玉川みね子
「狸の鯉」立川志ら乃
「うどんや」柳家喜多八

2015/02/15(日)17:00「渋谷らくご」@ユーロライブ
「反対俥」桂宮治

 11月の「渋谷らくご」立ち上げ時に購入したものの,それ以降タイミングが合わずに使っていない回数券。この日は昼夜で予定を入れていたが,夜,自宅マンションの管理組合会議が入り,最後まではいられない事になった。

 新宿での仕事を昼過ぎで終わらせて,渋谷に向かう。渋谷で迷う。渋谷嫌い。会場に着くと既に開場していたが,最前列が空いていた。

 わさびさんは笑点の若手大喜利で何度か拝見したことはあるけれど,生は初めて。凄いな,顔が。面白かった。

 浪曲を生で聞いたのは初めて。「ヒロサワトラゾウ」の名前は聞いたことはあるけれど,いきなり言われてもそりゃあんな反応しか返せない。
 奈々福さんも良かったけれど,みね子さんの合いの手と三味線に痺れる。私ぐらいの世代だと無自覚であっても僅かながら刷り込みがあるんだろうな。カッコいい。

 志ら乃さん,喜多八さんはいうまでもなく楽しいが,志ら乃さんの出だしでの喜多八さん以上の,いや以下の?テンションの低さが面白かったなぁ。

 ロビーで時間を潰して,そのまま夜の部。途中退席が前提なので出口近くの最後列に座ろう思ったけれど,客も疎らだし,宮治さんの後は浪曲なので台や椅子の用意で少し時間がかかるだろうと都合良く自分に言い訳して最前列通路寄りに座る。

 宮治さんはお馴染みの愛にあふれた春風亭昇太さんネタとお嬢さんの話からの「反対俥」。
 あれはもう意図的にサゲに見せかけた「芸者を揚げる」の件で,一人のお客さんの拍手を誘ったうえで更に続けるが,何故かここから実際のサゲまでの短い部分で乱れる。
 苦笑いで高座を降りる宮治さんを見届けて,立って出口に向かうと,出口付近の席に会のキュレーターであるサンキュータツオが座っていた。途中退席してゴメンナサイと心の中で詫びながらダッシュで帰宅。結果的にはもう一人聞いても間に合ったな……

 次回「渋谷らくご」の宮治さんは16日の「まくら王」か。

集まれ!前座さん応援団「未来の名人を聴け」第24回@道楽亭

2015/02/14(土)18:00「集まれ!前座さん応援団『未来の名人を聴け』第24回」@道楽亭
「たらちね」立川寸志
「狸の鯉」桂竹のこ
「山号寺号」快楽亭ブラ坊
(仲入り)
「まめや」立川寸志
「千早ふる改」桂竹のこ
「のめる」快楽亭ブラ坊

 二ツ目目前の寸志さん。流石の面白さ。実際には細かなミスもあるのだけれど,気にさせないところが凄い。「まめや」のサゲが腹立たしい。

 竹のこさんの「狸の鯉」。この話自体を初めて聞いた気がする。
 「千早ふる」は元の話も強引だけど,輪をかけて強引な再解釈で面白い。ただ,もっとそれなりの整合性を上げると更に面白くなると思うな。

 ブラ坊さんは「のめる」をネタおろし。素直に丁寧に演って良い感じ。

※腹八分目の伝説の唐揚が気になった。

立川談吉 だいじな会 Vol.22@ミュージック・テイト

2015/02/10(火)19:30「立川談吉 だいじな会 Vol.22」」@ミュージック・テイト
「子ほめ」
「しわいや」
「孝行糖」
(仲入り)
「寝床」

 開演暫くして喉に問題発生。なんとか「子ほめという技」を繰り出し終えて,珍しく高座でペットボトルの水を飲むが,おもわしく無い様子。

 そのためか「孝行糖」を「しわいや」に変更したようだ。初めて聞く話だったのは儲け物。

 その間にある程度持ち直したようで「孝行糖」も。

 仲入り後の「寝床」はネタ下ろしということだけど,こちらとしても喉の調子が気になって出来がどーこーどころではないままに終了したけれど,手応えとしては次回に期待してよさそう。

イキのいいのが五人会@深川江戸資料館・小劇場

2015/01/28(水)19:00 深川江戸資料館・小劇場
「看板のピン」三遊亭わん丈
「二番煎じ」桂宮治
「宮戸川・上」三遊亭萬橘
(仲入り)
「鮫講釈」立川こはる
「初天神」三遊亭天どん

 「どーせ見るなら最前列で!」がモットーの妻。
 「こんな面白い人たちが揃うんだから,凄い行列だよー!」と前々から言っていたが,どうやら16:30頃には会場に着いたらしい。当然,一番乗り。
 私は仕事終わりで直行。18:00頃に合流。顔を覚えてくれていたこの会の主宰・道楽亭のスタッフさんから「お待ちかねですよ。」と声をかけられた。別に私を待っていたわけじゃないが。

 この時点での待ち人は未だ数人で,ロビーにばらばらに座っていたが,次第に増える客を見てスタッフから順に並ぶように指示があり先頭に並ぶ。

 予約では半分くらいしか埋まっていないから,どうしても最前列に座りたいというのでなければ慌てなくても大丈夫ですよ,とスタッフから説明があるが,こちらはどうしても最前列に座りたいのだ。

 開場時には30人くらいか?の行列が出来たが,当然先頭の我々は余裕で最前列中央やや上手よりを確保。開演時刻になっても空席が目立つが,半分て事は無いかな。
 
 わん丈さんは初めて。面白い。
 前座として声をかけられたのだと思っていたが,チラシを見たら「五人会」となっていて驚いた。嬉しい。けれど,役割はいつもと同じ前座仕事だと。

 宮治さんは先日の国立でネタ下ろしをした「二番煎じ」。
 いつものような漫談は無しで話に入る。酒を持ち込んだ黒川先生に怒る月番の件が,ちょっと強くてくどいかなとも思うけれど,そのうち良い加減を見つけてくれるはず。
 それにしても宮治さん,爆笑の毒舌漫談無しでもキッチリ面白い。やっぱり落語が巧いんだよね。

 萬橘さんは昨年四月,テイトでのこはるさんとの二人会以来。あの時も妻と一緒で最前列だった。
 最前列と言ってもテイトの最前列は最前列ぶりの桁が違う。オープニングトークで目の前のお二人が年齢の話をした時に,萬橘さんが自分より年下だと知った妻の動揺をご本人からつっこまれたのは彼女の良い思いで。
 さて,この日の演目は「宮戸川・上」。どうも「下」の印象が強過ぎて引いてしまうのだけれど,そんなことは瞬時に忘れさせる面白さ。

 こはるさんは前日のお江戸日本橋亭の会の客入りが良く,ギャラ、ワリ?が二倍だったので,立川幸之進さんと夕方16:00頃から飲み始めたところ店長から年齢確認を求められたとのこと。結局,翌朝04:00頃まで飲んでいたらしい。
 こはるさんの「鮫講釈」は個人的に想い出深い話。ちょっと詰まりかけたところもあったけれど,気持ちの良い言いたてを聞かせてくれた。

 天どんさんは久々。印象深いのは一昨年四月の「大手町落語会NEO! II」。萬橘さんと宮治さんが一緒だった。
 驚くほど客が少なく,それはそれは少なく,そのせいかどうか宮治さんの次に二人目として登場した天どんさんは「百年目」をたっぷりと演じ,続いた馬るこさん萬橘さんの四人で三時間という会だった。
 その時は宮治さん目当てで妻と一緒に出かけたのだけど,それ以来,妻は萬橘・天どんのお二人にも興味を持ったらしい。

 この日の演目は「初天神」。なのだと思う。
 マクラでイジられた萬橘さんが袖からスリッパを投げ込み,更には私服で登場。悪乗りではあるけれど,場の雰囲気を読みつつの阿吽の呼吸。
 萬橘さんの「宮戸川」も不思議な「宮戸川」だったけれど,こちらの「初天神」はもう,何だろう?おとっちゃんがいやいや金坊を連れて初天神へ向かう。飴を買う。凧を買う。けれども「初天神」なのかな,あれは。
 凄く面白いからどっちでもいいんだけど。

 いや~,皆さん面白かった。それにしても, 思い返してみると,この日の宮治さんはこの上なく正統な本格派の落語家に見えたなぁ,というかそうであることが際立ったなぁ。