負けてたまるか!?こはる VS 宮治@道楽亭

2013/11/06(水)19:00 道楽亭

「ぞろぞろ」桂宮治
「寿限無」立川こはる
(仲入り)
「素人義太夫」立川こはる
「阿武松」桂宮治

 宮治さんの「ぞろぞろ」を受けて「学校寄席のために覚えたんだろ」と揶揄しつつ,自分もそのために覚えたという「寿限無」を演るこはるさん。「寿限無」が面白いって,ちょっと新鮮。
 前半は手を抜いた……ではないな,肩の力の抜けた軽い雰囲気で終了。

 仲入り明けのこはるさん。某所で某師とのニアミスを逃れるために,壊れた雪駄を持って黒足袋で走ったという話。この日も雪駄は壊れたまま。
 「素人義太夫」(寝床)で蔵の窓から義太夫を吹き込むというくだりを実際に聞いたのは初めて。

 さて,こはるさんが下がる際に些細なうっかりミス。続いて最前列にいた一人のお客さんが退席。
 これを受けて高座上がった宮治さんが,ここぞとばかりに毒づいてみせる一幕あり。

 風邪で少し声の調子が良くなかった宮治さん。「阿武松」熱演中に目が潤んでいて熱でもあるのかと思っていたら,どうやら感情移入し過ぎて自ら感極まったらしい。
 打ち上げで「あれが人情話?」などとくさしましたが,実のところ私もちょっとグッと来た。今度何処ぞで演るらしい「妾馬」が見ものです。宮治さんの落語で泣く日が来るのかね。

 ちなみに,途中退席したお客さんは,「阿武松」が終わった後に一旦戻られて,こはるさんに何やら渡してお帰りになりました。どうやら,こはるさんのために雪駄を買ってきたらしい。<未確認

※「ぞろぞろ」というと,小学館「昭和の名人完結編15 林家正蔵(彦六)」付録CDに入っていた音源が大好き。かなり晩年の録音だと思うのですが,林家木久扇さんが演られるものまねそのままのナチュラルビブラートで,一般的な間の感覚を超越した棒読みっぽい語り口。初めて聴いたときは唖然としましたが,何故か繰り返して聴いてしまう。枯淡とはこういうことか。