2015/06/09(火)19:30 ミュージック・テイト西新宿店
「元犬」
「およそ3」
(仲入り)
「唐茄子屋政談」
立川談吉さんネタ出しの会。その演目は「元犬」。あれ?ネタ出しにしてネタおろしでもあるのかな?
アッサリ。あぁ,元犬ってこんな話だったよね。
ご本人はあまり合わないと感じているようでしたが,そんなこと無いけどな。
「およそ3」は。先日の百席に続いて二回目。ご本人が高座で演るのは三回目なのかな。
前回,「この話かなり好き!」と感じたけれど,やっぱりかなり好き。
ただ,日をおかずに続けて聞いたせいか,印象がかなり違った。
当然何も知らずに聞く一回目と,知った上で聞く二回目で印象が異なるのは当然だけど,改めて古典の強さを感じた気がする。
演者さんにとって古典であれば,ネタおろしであれ二回目であれ自分以外の音源を聞いたことがあるはず。聞く側にしても,別の人で聞いたことがあったり,そうでなくても演目や簡単な内容くらいは知っていることも多い。
良くも悪くも暗黙のうちに漠然と共通の場があるのだけれど,自作の新作となれば全体像もおぼろげで都度作って行くことになる。無数の演者に揉まれ叩かれて生まれる強度は無い。
もちろん,だからこそ存在する輝きもある。工業デザインのプロトタイプが持っているドキドキワクワク感ね。
談吉作品に限らず,私が新作落語を聞いた時に感じる(面白いつまらないとは別の)頼りなさは,そんなところに原因があるんだと思っている。
そんなに広く深く新作派を聞いてはいないけど,鯉八さん(粋歌さんもか)の新作の強度は異例。
談吉さんは「およそ3」を今後しばらくは演らないとおっしゃっていたけれど,この話は時々でも演って強くして行って欲しいなぁ。ドキドキワクワクは残したままで。
「唐茄子屋政談」はどっしりと出来あがった古典落語が,過剰な「糊屋の婆」にバランスを崩すこと無く受け止める。ミスが目立ったのはアレだけど,面白いなぁやっぱり。