2015/06/17(水)19:00 下北沢・ダーウィンルーム2Fラボ
「レクチャー」桂宮治
「饅頭怖い」桂宮治
「お見立て」桂宮治
(仲入り)
「トーク & 質疑応答」桂宮治 + オーナー
一階店内はシマウマの剥製やら昆虫の標本やら頭骨のレプリカやら化石やら動物のフィギアやら鉱石やら図鑑やら博物学系他の書籍やらがぎっしり。窓際にコーヒーが飲めるカウンター。
私も嫌いではないけれど好きな人には堪らない空間だろうな。
会場は外階段から上がった二階。思ったより広いお洒落なカフェ。居心地の良い空間。
http://www.darwinroom.com/
今後のイベント概要は「植物考古学」「科学映画研究会」「写真展」「フィールド生物学」とのこと。異質だな「落語」。
初めての落語会に「ラボ」と銘打って桂宮治さんを呼んだのか。
宮治さんは自分の落語を実験的に解析したりするタイプでは無い。というか,解析はするだろうが,それを表に出すことは無い。
けれど,古典落語をキチンと演じる力があり,その上で,独自の入れ事をふんだんに,時に過剰な程に掘り込んでくる宮治さんは,博物学的な研究対象としては最適なんじゃないか。
そこを狙ったのであれば,オーナー流石に目が高い。
しかし,この日は何人かおられた落語初心者のお客さんの反応に,宮治さんが妙にのってしまい,予定時間をかなり超過。
時間が削られたトークでもオーナーが宮治さんをコントロール出来ず(無理だよね),ありがちな内容に始終してしまった。
質疑応答で興味深い内容もあり,落語も勿論面白かったけれど,「ラボ」という要素は見えないトーク付き落語会だった。
次回,出来れば予め演目を決めておいて(例えば元犬とか),宮治さんが演じた後に同じ演目の古今亭志ん朝さんの音源を聞きながら,採集・同定・分類といった博物学の手法を活かしたトークを繰り広げてくれると面白いんだけど,宮治さんが嫌がるだろうなぁ。
ところで,あのお店の魅力って,置いてある商品自体で完結するのではなく,自然から切り取られた欠片や,自然を模倣して作られたもの,自然を観察して書かれた書物から,想像力でその先にある本来の自然に思いを馳せるってところだと思う。
奇しくも宮治さんがレクチャーで強調していた,手拭と扇子だけを使った落語家の演技の先に何を見るか,それを面白く思えるかは見る側の想像力にかかっているといった事にリンクしている。(うまく纏めたな私。)
吉原や花魁や長屋や与太郎やお殿様や幇間や,見やことも会ったことも無い事物に溢れた世界に連れて行ってくれる落語って凄い。宮治さん凄い。私の想像力凄い。