イキのいいのが五人会@深川江戸資料館・小劇場

2015/01/28(水)19:00 深川江戸資料館・小劇場
「看板のピン」三遊亭わん丈
「二番煎じ」桂宮治
「宮戸川・上」三遊亭萬橘
(仲入り)
「鮫講釈」立川こはる
「初天神」三遊亭天どん

 「どーせ見るなら最前列で!」がモットーの妻。
 「こんな面白い人たちが揃うんだから,凄い行列だよー!」と前々から言っていたが,どうやら16:30頃には会場に着いたらしい。当然,一番乗り。
 私は仕事終わりで直行。18:00頃に合流。顔を覚えてくれていたこの会の主宰・道楽亭のスタッフさんから「お待ちかねですよ。」と声をかけられた。別に私を待っていたわけじゃないが。

 この時点での待ち人は未だ数人で,ロビーにばらばらに座っていたが,次第に増える客を見てスタッフから順に並ぶように指示があり先頭に並ぶ。

 予約では半分くらいしか埋まっていないから,どうしても最前列に座りたいというのでなければ慌てなくても大丈夫ですよ,とスタッフから説明があるが,こちらはどうしても最前列に座りたいのだ。

 開場時には30人くらいか?の行列が出来たが,当然先頭の我々は余裕で最前列中央やや上手よりを確保。開演時刻になっても空席が目立つが,半分て事は無いかな。
 
 わん丈さんは初めて。面白い。
 前座として声をかけられたのだと思っていたが,チラシを見たら「五人会」となっていて驚いた。嬉しい。けれど,役割はいつもと同じ前座仕事だと。

 宮治さんは先日の国立でネタ下ろしをした「二番煎じ」。
 いつものような漫談は無しで話に入る。酒を持ち込んだ黒川先生に怒る月番の件が,ちょっと強くてくどいかなとも思うけれど,そのうち良い加減を見つけてくれるはず。
 それにしても宮治さん,爆笑の毒舌漫談無しでもキッチリ面白い。やっぱり落語が巧いんだよね。

 萬橘さんは昨年四月,テイトでのこはるさんとの二人会以来。あの時も妻と一緒で最前列だった。
 最前列と言ってもテイトの最前列は最前列ぶりの桁が違う。オープニングトークで目の前のお二人が年齢の話をした時に,萬橘さんが自分より年下だと知った妻の動揺をご本人からつっこまれたのは彼女の良い思いで。
 さて,この日の演目は「宮戸川・上」。どうも「下」の印象が強過ぎて引いてしまうのだけれど,そんなことは瞬時に忘れさせる面白さ。

 こはるさんは前日のお江戸日本橋亭の会の客入りが良く,ギャラ、ワリ?が二倍だったので,立川幸之進さんと夕方16:00頃から飲み始めたところ店長から年齢確認を求められたとのこと。結局,翌朝04:00頃まで飲んでいたらしい。
 こはるさんの「鮫講釈」は個人的に想い出深い話。ちょっと詰まりかけたところもあったけれど,気持ちの良い言いたてを聞かせてくれた。

 天どんさんは久々。印象深いのは一昨年四月の「大手町落語会NEO! II」。萬橘さんと宮治さんが一緒だった。
 驚くほど客が少なく,それはそれは少なく,そのせいかどうか宮治さんの次に二人目として登場した天どんさんは「百年目」をたっぷりと演じ,続いた馬るこさん萬橘さんの四人で三時間という会だった。
 その時は宮治さん目当てで妻と一緒に出かけたのだけど,それ以来,妻は萬橘・天どんのお二人にも興味を持ったらしい。

 この日の演目は「初天神」。なのだと思う。
 マクラでイジられた萬橘さんが袖からスリッパを投げ込み,更には私服で登場。悪乗りではあるけれど,場の雰囲気を読みつつの阿吽の呼吸。
 萬橘さんの「宮戸川」も不思議な「宮戸川」だったけれど,こちらの「初天神」はもう,何だろう?おとっちゃんがいやいや金坊を連れて初天神へ向かう。飴を買う。凧を買う。けれども「初天神」なのかな,あれは。
 凄く面白いからどっちでもいいんだけど。

 いや~,皆さん面白かった。それにしても, 思い返してみると,この日の宮治さんはこの上なく正統な本格派の落語家に見えたなぁ,というかそうであることが際立ったなぁ。

負けてたまるか!? 立川談吉 vs 立川笑二@道楽亭

2015/01/20(火) 道楽亭

「蝦蟇の油」立川談吉
「花筏」立川笑二
(仲入り)
「蜘蛛駕籠」立川笑二
「おせつ徳三郎」立川談吉

 談吉さんの口上は聞いていて気持ちが良い。声がよくて急がない。

 笑二さんの面白さには謎がいっぱい。些細な部分なんだと思う。言葉の選択とか間とかかな。
 改作と言うほどは手を入れていない話でも,元の話と違う印象になる。

 言葉の選択は談吉さんもまた秀逸。どおってことのない言葉だったり唐突な言葉だったりするけれど,私の弱いところを突いてくる。

 「おせつ徳三郎」のサゲは「お材木」ではなく水を飲む方なんだけど,今回は後日談を続けて大団円を明示してくれた。
 安心感が増して幸せな気持ちになり,このところ涙腺の緩みに拍車がかかっている私は少しウルッときたほど。
 ただ,あの面白いとは思えないサゲで終って,おせつが愛おしくてたまらなくなるような不思議な感覚も捨てがたいなぁ。

 打ち上げは客六人と演者が二人,見知った顔ばかり八人で小じんまりとテーブルを囲み,いつも楽しみな道楽亭さんの料理を肴に飲みながら,結構濃い話。

桂宮治独演会 新・宮治本舗 4@国立演芸場

2015/01/19(月)19:00 国立演芸場

「狸賽」桂宮治
「夢金」桂宮治
「漫才」ロケット団
(仲入り)
「二番煎じ」桂宮治

 シリーズ完結。

 前回までは開演前に緞帳脇上手側から浴衣姿で現れて前説的な事をしていたのだが,この日は無し。あればあれば,その目の前と言う絶好の席だったのに。

 白い座布団に座り深々とお辞儀。長い漫談で年明けから続いた悪い出来ごとを次々と。シークレットゲストの予定だった柳家三三さんが直前にインフルエンザでダウンしたという話は本当らしい。

「狸賽」
 本人曰く「次の話で頭がいっぱい」で単純な言い間違はあったものの,いつものだ。いつも面白いやつ。

「夢金」
 この話に出てくる侍は,私が知っている範囲での宮治さんが持っているキャラクターと違うのでどうなるかと思っていたが,流石に掴みきれていない感じで聊か手こずったか。
 でも,独自の工夫を入れ込む余裕が無い段階での落語は,宮治さんの素の力が露わになる。
 笑いが取れない場面が続いてもダレない。その話自体が持っている面白を損なわない。強いねこの人。

「漫才」
 柳家三三さんの代演でロケット団。この経緯については宮治さんが面白く(かつ慎重に)話したのだけれど,ニュアンスを損なわずに纏めるのは無理。三三さんが代演に師匠を推薦したという話の真偽は如何に。
 正直なところ,落語や宮治さんに興味があるという条件付きのお客さんの間でも,これまでのゲストや三三さんに比べると知名度は低いのか,近くの席から「知ってる?」「知らない。」といった声も聞こえてきた。
 私的にはテレビでは何度も見ている「山形では昔から日常会話で使っている」パターンは好きだったし,その他のパターンも見ることが出来て,それも面白かったので大満足。

 三三さんがゲストだったらと考えると勿論それはそれで見たかったけれど,結果的にはロケット団って正解だったんじゃないか。

「二番煎じ」
 この話を宮治さんがやったら面白いに決まっている。ネタ下ろしだからって不安要素無しと思っていたけれど,聞いてみたらやっぱり面白かった。

 終了後,涙ながらにお客さんへのお礼を述べ,全員に千社札を配るからと,そのまま舞台を降りて客席の間を走ってロビーに向かった宮治さん。一人一人にお礼を言いながら千社札(シール)を渡す。当然長い行列で混雑したロビーですが皆嬉しそう。

 帰宅後,「二番煎じ」を聞いて日本酒で一杯やりたいなと思ったものの妻からワインにしろと指導が入り(日本酒を飲むとたちが悪いらしい),宮治さんも美味い酒を飲んでいるだろうと思いつつ,会の成功を祝って勝手に打ち上げ。

 シリーズ四回通して,宮治さんの「間に合わない」だの「不安」だの何だというツイートを目にしては,陰ながら応援しつつ通い続けたわけだけど,あのツイートも含めて,桂宮治に踊らされたんじゃないかとも思いながら,次のシリーズの前売り券も買ってしまった。

どっちがドッカン! 宝井琴柑・桂宮治@ミュージック・テイト西新宿店

2015/01/04(日)17:30 ミュージック・テイト西新宿店
「山内一豊」宝井琴柑
「妾馬」桂宮治
(仲入り)
「反対俥」桂宮治
「あんぱんを食べた次郎長」宝井琴柑

 ミュージック・テイト初登場で勝手が判らず,戸惑いつつも手探りで場の雰囲気を探り探りの琴柑さんがキュート!

 宮治さんの「妾馬」,やっぱり良いよ。ちょっと切なくホロっとさせられ,最後はお目出度い気持ちになりました。
 次の「反対俥」で,そんなほんわか気分も台無しだけど,賑やかでこれはこれで良し。

 良い落語(演芸)初めでした。