負けてたまるか!? 桂宮治 vs 林家扇@道楽亭

2014/08/30日(土)18:00 道楽亭

「千早振る」林家扇
「妾馬」桂宮治
(仲入り)
「七段目」桂宮治
「ねずみ」林家扇

 扇さんの「ねずみ」は甚五郎への愛に溢れていた。甚五郎フェチなのだそうだ。
 そのうちに甚五郎三部作の会を開きたいとのこと。(調べたら四部作でもいけそうだな……)
 扇さん,強気なのか弱気なのか微妙です。

 宮治さんは「妾馬」が良かった。抜群に良かった。
 私にとっては四月の国立以来だけど,宮治さん自身も久々だったらしく,あまり独自の工夫を凝らしたりせず,本来の話を忠実に辿ったように思えた。
 いや,もちろん独自の工夫が悪いとかつまらないとかでは全くないのですが,普通に素直に演じると,話本来の力を活かす宮治さんの素の落語力の高さが明確になる。
 八五郎と殿と三太夫のやり取りが繰り返される場面で,ちょっと危ないところもあってノーミスってわけじゃないんだけど,些細な問題を気にせずに,演者を信頼して聞き入って泣けるというのは,この上なく幸せなことです。

 チョット気になった点は,「七段目」でお軽の役をふられた定吉が頑なに遠慮し続けた挙句,突然役に入り込む件。
 繰り返して繰り返した挙句の急変って,面白いパターンなんだけど,さすがに長すぎて急すぎる印象。
 宮治さんはくどさギリギリの攻防が上手いんだけど,この場面に関しては一段階グラデーション入れたほうがいいんじゃないかなぁというのが私の感覚。(でも受けてたな。あれ,見るたびに面白くなるパターンかな。)

『よこはま宮治展』@のげシャーレ

2014/08/25(月)19:00 のげシャーレ

「オープニングトーク」桂宮治
「平林」桂竹のこ
「青菜」桂宮治
「風呂敷」桂宮治
(仲入り)
「お化け長屋」桂宮治

 この日も爆笑だった。初っ端に芸協の新しい浴衣で登場してのオープニングトークで早くも汗だく。
 「笑点特大号(@BS日テレ)」での三遊亭小遊三さんの爆笑エピソード。お台場新大陸での「噺家が闇夜にコソコソ(@フジテレビ)」ブースの裏話と,番組が九月一杯で終了という寂しい報告。

 続く開口一番(どんな組み立てだ)を「(雷門)音助さん」と紹介して舞台を降りる。複雑な表情で登場したのは音助さんでは無く「桂竹のこ」と自己紹介。
 お顔は覚えていなかったが,いつぞやの宮治さんの独演会@日本橋亭で「反対俥」の途中で幕を下ろしかけ,仲入では宮治さんと音声で「宿屋の仇討ちミニコント」を演ってた子だね。
 宮治さんの紹介は,アクシデントを笑いにという愛なのか,単なる意地悪なのかは不明ですが,竹のこさんは臆せず笑いをとりにくる。チラシにもメクリにも名前が出ない立場にしては攻めすぎな程に。宮治さんの懐の深さが垣間見える。

 「青菜」は好きな話。前日,立川笑二さんで聞いたばかりですが,其々の創意が興味深いなぁ。
 ところで,確か先日の「高縄手」でもそうだったと思うのだけれど,最後に何かチョット付け足すよね?それが凄く面白い印象だけが残っていて,具体的に何を言ったのか思い出せないや……

 「風呂敷」はネタおろしですが,いつものようにチャンと面白く聞かせてくれます。

 「お化け長屋」もまた,前日に笑二さんで聞いたばかり。笑二さんの方は短い,というか普通のバージョンだったけど,宮治さんは国立で披露した長尺版。男が越して来てからがまた面白い。

 今回は感覚的な覚書。

 熱演・爆笑・毒舌で語りがちな宮治さんの高座ですが,実のところ緻密に組み立てられているのだと思う。それが功を奏するかどうかは別問題なのだけれど。

 「青菜」でおかみさんに対して言い過ぎた台詞を無かったことにしてもらう件とか,「お化け長屋」の「手短に!」の件などは「ギャクを演ってるなぁ」とも感じる。それが悪いというわけでもない。

 私は評論家でも落語通でもないし,宮治さんには玄人受けとか通好みとかではなく,大衆受けのする人気者になって欲しいと勝手に思っている。実際にテレビ露出も増えて,色々な状況での様々な対応も要求されるのだと思う。

 でも,色々と盛り込んでも受け止められるだけの強さが落語にはあるよね?そんな芯の強い素の落語力を宮治さんは持っているよね?

2014立川笑二独演会 夏@お江戸上野広小路亭

2014/08/24(日)18:00

「転失気」
「お化け長屋」
(仲入り)
「青菜」
「三方一両損」

 仕事終わりで久々のお江戸上野広小路亭。志らく一門会かキウイさんの会以来。どちらにしても随分と前のこと。
 17:15頃着で行列の七人目。17:30開場。最前列の下手側に座る。結構な入り。

 この夏の思い出。お台場新大陸・ハナコソ毎日寄席の裏話。稲川淳二の怪談ナイトの話などなど。

 「転失気」のサゲはオリジナルかな。
 「青菜」のおかみさんがかわいい。(ゴン!ってけっこうな音がしたけど,笑二さん大丈夫かな。)

 笑二さんの高座はそれほど頻繁に拝見するわけではないけれど,見る度に感心させられる。仲入りで顔を合わせた知り合いがボソッと「凄いね」と。確かに。

こはるの会 その六@ミュージック・テイト西新宿店

2014/08/21(木)19:30

「転宅」
「三方一両損」
(仲入り)
「鰻の幇間」

 久しぶりのこはるさん。髪が長い。といっても伸ばすわけではなく,切り損ねているだけのようですが。

 「鰻の幇間」は初めてなのか。しかも来年まで封印とか言っていた。鰻屋の創業者が面白かったな。また聞いてみたい。

 どう見ても体力があるようには見えないこはるさん。なんだか体調が心配ですが,なんとか残暑を乗り切っていただきたい。

マレフィセント@ムービル

2014/08/18(月)18:50

 妻の希望が無ければ見なかったかもしれない映画。
 巧く出来た作り話が好きなので,童話的なお話はもってこいの題材のはずなのですが,実際には「チャーリーとチョコレート工場」とか「アリス・イン・ワンダーランド」でチョッとがっかりした覚えがあるし,テレビCMでのアンジェリーナ・ジョリーのイメージが何だか強烈過ぎて。

 でも,これ面白かった。凄くよかった。子供向けじゃ無いような気がするけれど,お伽話ならではの杜撰さが私にはピッタリきた。その辺り気にせずに飲み込めると,抜群に良いよ。

 ただ,王様は可哀そうだったな。そして,アンジェリーナ・ジョリーはやっぱり強烈だった。ジウジアーロデザインかと。

高縄手落語会@白金高輪・高輪区民センター3F 和室

2014/08/16(土)17:45
「饅頭こわい」雷門音助
「お菊の皿」桂宮治
(仲入り)
「薬缶なめ」雷門音助
「青菜」桂宮治

 前の目黒での映画の会がはねたのが18:00過ぎ。

 17:45の開演時刻は過ぎていたし,行ったことのない会で予約なしで入れるのかなど勝手が判らなかったのだが,会場は目黒から二駅の白金高輪駅駅直結の高輪区民センター。

 会場に着くと,当然入口は締まっているが,外の廊下まで宮治さんの「お菊の皿」が聞こえる。仲入で入場できた。
 最前列は畳に座布団。巣二列目以降は和室用のローテーブルに座布団を置いて座るというレイアウト。30人弱?

 宮治さんを二席は聞けるかと思っていたのだけれど,仲入り明けで音助さんが登場。ちょっとガッカリしてご免>音助さん。

 どうやら宮治さんはかなり酷い二日酔いだったようですが「青菜」を熱演。

 せっかくなので,お席亭のご自宅での打ち上げにも参加。演者込みで20人近くもいたか。
 プロ並みの(というかプロらしい)の手料理を満喫。宮治さんはなかなか調子が戻らない様子。
 こちらも寝不足でフラフラしてきたので,早めに引き上げた。

目黒 de 映画サロン

2014/08/16(土)13:00
 午前中仕事。午後は目黒の映画制作関係者のご自宅にて数人で映画のDVDを見るというイベントに参加。プロデューサーと監督,それに役者さんが三人。私だけが素人。二回目の参加ですが,前回も素人は私だけだった。

 作品は「灼熱の魂」。記憶にないけれど2011年12月に日本で公開された映画とのこと。
 複雑な関係性が解き明かされる,というかパズルみたいに組み合わされていく様が見事という見方と,出来過ぎという意見のどちらもあると思いますが,その背景にある問題と,最後に明かされる手紙の内容に,なんとも言い難い思いが残る。

 一回見終わった後,再度,初めから映像を流しながら,あれこれと専門家視点での興味深い解説が入る。

第16回 立川談吉 大事な会(第二回)@ミュージック・テイト西新宿店

2014/08/10(日)17:30 ミュージック・テイト西新宿店

「手紙無筆」
「親子酒」
(仲入り)
「黄金餅」

 台風11号の影響で,新宿は朝から豪雨と小止みの繰り返し。前回(7/10)は台風8号接近中だった。

 談吉さんにとっては八月初の落語とのことで,長めで回し過ぎな馴らし運転。
 「親子酒」「黄金餅」は前回のアンケートから採用。「親子酒」は初めてなのかな?
 「黄金餅」の金兵衛さんは木蓮寺への道を間違ったらしいが,私はそらんじているわけではないので判らなかった。途中で立ち止まったのは気づいたけれど。いずれにしても,辿り着いて何より。

 何度となく呪文のように「クオリティが,クオリティが……」と繰り返していましたけれど,演者の考えるクオリティと客が感じるクオリティは異なるのでしょう。客の一人としては充分に楽しみました。
 立川談吉の落語が好きなので,その時の高座をそのまま楽しんでいます。気になる点とか無いわけでも無いのだけれど,それはそれ。機会があればご本人に伝えるかもしれないし伝えないかもしれない。

 いつか立川談吉の落語が私の好みの範疇から外れてしまったら,その時には黙って客席から消えようと大仰な覚悟をしていますが,あの高座の雰囲気とそれを楽しむこちらの感覚のバランスは,ちょっと他の落語家さんでは得られない快楽なので,永く見ていられたらいいなぁと思う。

 変わらないで欲しいということでは無く,変わっていく様も含めて面白がりたいということですけど。

スイートプールサイド@キネカ大森

2014/08/08(金)キネカ大森

 先週08/06,妻と映画を見ようということになった。
 私が気になっていたのは,テレビCMや情報番組などで目にしていた「GODZILLA ゴジラ」「思い出のマーニー」「マレフィセント」。前回行きそびれた「呪怨 終わりの始まり」。映画情報サイトで気になった「グランド・ブダペスト・ホテル」「2つ目の窓」「スイートプールサイド」。

 妻に提案したのは「GODZILLA ゴジラ」から「グランド・ブダペスト・ホテル」までの五つ。妻の選択は「マレフィセント」だったが上映時刻のタイミングが合わず「グランド・ブダペスト・ホテル」を見た。好きな映画が一つ増えた。「マレフィセント」は後日改めて見に行く約束をしている。

 その他の候補の中で「スイートプールサイド」が気になる。一旦気になると加速度的に気になる。
 情報源は映画情報サイトと公式サイトのみ。大抵の映画公式サイトは映画自体よりも魅力的だ。漫画原作らしいが未読。

 確認時点で関東圏での上映はキネカ大森のみで8/8まで。となると俄然見たくなるのが人の情。上司と掛け合って(理由は伏せて),夜の勤務を人の少ない翌週と入れ替えて無理やり時間を作って最終日の最終回を一人で見に行った。
 キネカ大森は西友大森店の五階。3スクリーンのノスタルジックな映画館。「プルガサリ」とか上映中。
 「スイートプールサイド」を上映するシアター2は69席。私の他には,20代の男性二人連れ,仕事帰りに見える60歳くらいの男性二人連れ,女性のお一人様が何人か。

 大正解。ここ数年で私が見た中でも最も好きな映画の一つ。出来の善し悪しではなく,あくまでも好みで,全く誰にもお勧めはしないが,とても好き。好き過ぎる。

 「体毛の薄い高校1年男子が体毛の濃い高校1年女子の腕やら脛やら脇やらを剃る」という映画。こう纏めてしまうと身も蓋もない変態映画のようだけれど,思春期の純粋な心の悩みを……と書きたいが,やっぱり多分に変態映画だ。というか,そもそも高校生なんて皆変態だ。ドロドロしてキラキラしてる。

 主人公の二人だけじゃなく,クラスの男友達も女友達も,水泳部のキャプテンもOBも良いやつばかりだったな。良いやつばっかり過ぎるな。それも良い。

 思い出しても切なくて胸が痛くなる。

 リアルな高校生が起こした事件がセンセーショナルに報道されているが,地続きなんだろうな。

 無理やり時間を作って出かけた手前,つまらなかったとは思いたくない!という意識が働いているかもと,数日放っておいたが,やはり好きなので書いておく。

グランド・ブダペスト・ホテル@角川シネマ有楽町

 8/6は日本にとって大きな出来事のあった日ですが,我々夫婦にとっては,結婚(式)記念日でもある。ちなみに今年は9回目。よりによってこの日を選ばなくても良かったのだが,深く考えたわけじゃない。深く考えない時点でダメなのかもしれないが。

と,去年と同じ言い訳をしつつ,日本の歴史を踏まえた未来については何をしていいか判らないので,せめて妻には良い雰囲気で食事でもと,猛暑の中を二人で都内へ。

 せっかだから映画でも見よう。都内で上映中の映画をざっと見渡すと興味を引かれるものがいくつか。あくまでも私の興味の順番に挙げてみると次の通り。
「グランド・ブダペスト・ホテル」「2つ目の窓」「GODZILLA ゴジラ」「スイートプールサイド」「思い出のマーニー」「マレフィセント」「呪怨 終わりの始まり」
 方向性が見えない。

 妻の選択は「マレフィセント」。ところが,東銀座駅に着いたのが開演時刻10分前。とりあえずマリオンに向かい,チケット売り場で5分前。ちょっとした行列が出来ていて手間取りそうなので,少し時間に余裕のある角川シネマ有楽町の「グランド・ブダペスト・ホテル」に変更。

 CGのようなアニメのような背景とか,全体的な映像が大好きなタイプの映画。グロいシーンもあるけれど,わざとリアルさを落としているダミーの人体表現でコミカル風味。アガサがとても魅力的。
 私はとても満足しましたが,妻の感想はどうだったのかな?「面白かった」と言ってはくれましたが,改めて「マレフィセント」を見に行く約束をする。

 夕食はフレンチ。店はグランド・ブダペスト・ホテルよりはまっとうなホテルの二階。
 いきなりアミューズが崩れ落ちたり,オードブルの蓋付きの器が丼物の風情だったり,突っ込みがいのあるコースでしたが,結局きちんと満足させてくれるのも伝統の力。小さなお祝いのケーキも付けていただきました。

 飲み残して持ち帰ったワインを自宅で飲みながらテレビをつけると,綾瀬はるかさんがインタビュアーとして広島のお年寄りから当時の様子を聞いていた。暑い一日。