盛夏吉例 圓朝祭 初日@豊島公会堂

2014/07/19(土)16:00 豊島公会堂
「反対車」桂宮治
「麻のれん」春風亭一之輔
「死神」桃月庵白酒(三遊亭圓朝作)
「二十四孝」春風亭昇太
(仲入り)
「錦の袈裟」柳家三三
「真景累ヶ淵より お累の自害」桂歌丸(三遊亭圓朝作)

 会場は時代のついた公会堂。向かいの公園では「東京フラフェスタ in 池袋」。
 チケット購入が遅れたためS席でも二階席。座り心地が良いとは言えぬ椅子で開演を待ちながら,入口で配られた団扇の意匠で錚々たる顔ぶれと肩を並べた宮治さんの名前にしばし見入る。

 阿波踊りの出囃子で宮治さん登場。今日も馴染みの「戸越銀座!」の声がかかる。
 これをいじりつつ,大阪のオバサンと自動改札のマクラから話に入る。
 「圓朝祭なのにこれでいいのかなぁ」と言いながらの熱演。赤い毛氈に飛び散る汗。

 「芸者をあげる」のくだりでサゲと勘違いした何人かが拍手。「未だ終わりじゃないよ。一之輔兄貴は出さないよ!」と言いつつ本当のサゲに向かう。ここは以前に日本橋亭の独演会で,客席ばかりか前座さんも勘違いして幕を半分降ろしたことがあったっけ。あの時はともかく,今では意識的に勘違いを誘って笑いを作っているのでは……なことは無いかな。

 触れられそうな至近距離で見る機会が多い宮治さんの高座ですが,遠く二階席から見ていると,いかにも人気落語家さん然としていてるなぁ,とちょっと複雑な気持ち。
 
 毛氈に飛んだ汗を手ぬぐいで拭いて,高座を降りる宮治さん。続いて上がった一之輔さんは大袈裟に顔をしかめて,「手ぬぐいで拭いたくらいじゃとれないよ」と毛氈に飛んだ汗の範囲を扇子で示す。
 「麻のれん」は初めて聞いた話。面白い事は言うまでもなし。

 白酒さんは圓朝作品担当のプレッシャーを吐露。圓生とは違うからと繰り返し敷居を下げる。
 死神がヨーロッパ起源であることから初の海外旅行で搭乗したスイス航空のCAの話になり,世界遺産の教会の話から(ちょっと宮治さんをいじって)死神へ戻る。
 斬新な死神のキャラ設定,そして死神を枕元の死神を退散させる手段。

 話は前日に戻るけれど,「柳家小三治さん人間国宝」の大ニュースがあった。
 この日の中入り後の演者を見て,個人的に何やらドキドキしていたのですが,結局この話題に触れたのは白酒さんのみ。
 マクラではなく話の中に大胆に放り込んできて会場が沸いた。終盤では更に一歩踏み込んだ白酒さん。会場がざわついたように感じたのは私の穿ち過ぎかな。愛嬌たっぷりの外見に似合わぬ毒をはく,との噂に違わぬ白酒さんの高座でした。

 昇太さんは圓朝祭の話が来たときに「圓朝作品なんて……」と謙遜したら「昇太さんは圓朝作品じゃなくていいです。」と言われてホッとしたような複雑な心境を告白し,この日の白酒さんの死神を聞いて「あれなら俺でもよかったんじゃないか!」。
 開演前にフラフェスタを見ていた時の悲しい出来事。ここでも宮治さんがいじられる。
 同期の立川志の輔さんとの対比ネタからはいった爆笑の「二十四孝」でしたが,サゲで泣きそうになる。

 仲入り。ここまででも充分に堪能したのに,更に三三さんと歌丸さんが続くという贅沢さ。

 仲入り開け。高座の毛氈が藍色に変わっている。(宮治さんの汗のせい,ではないでしょう。)

 三三さん,いつものようにひょこひょこと登場。とにかく聞かせます。

 三三さんが下がると,いったん幕が降りる。

 再度幕が上がると,板つきで歌丸さん。笑点では歩いて登場していたと思うのですが,段差のある高座は厳しいのか。
 話の方は,前後の繋がりを知らない私には判らないところもありましたが,しっかりとした口調で未だ未だこれからのご活躍を期待させる高座でした。

 堪能。