第二回 こはるパラダイス築地編@ブディストホール

2014/03/31(月)19:00 築地本願寺・ブディストホール

「桃川」
(仲入り)
「梅若禮三郎」

 雨にふられた前日の「志の吉改め 立川晴の輔真打昇進披露落語会」の話。
 この日が最終回の「笑っていいとも!」が始まった,まさにその月がこはるさんの生まれ月だったという話。
 その特番があるせいでキャンセルが出たと冗談めかしておっしゃっていましたが,ありえるかな?ちなみに,私は録画するつもりで忘れました。客の入りはまぁまぁ。
 お馴染みの地元の大國魂神社の「くらやみ祭り」の話から「四神旗」「四神剣」,そして百川へ。

 こはるさんの「百川」を聞くのは二回目か。師匠とは違う形のように思えるのですが面白い。

 他の人を含めても初めて聞いた「梅若禮三郎」。三遊亭圓生さんのCDだと二枚に亘る長い話のようですが,こはるさんは30分にまとめたとのこと。(実際にはもう少し長かったかな。)
 上・下などに分けて演じることもあったようですが,おそらく全話通しで部分的に刈り込んだ感じ。その上でこはるさんが加えた部分もあったようです。
 流れとしてしっくりこないところもありましたが,こはるさんならではの語り口の心地よさで面白く聞きました。本人がおっしゃった「話を追うのに精一杯」の状態を抜ければ,もっと良い話になりそうです。

 こんな話をまた掘り出して欲しいと思います。

こはる十二支の会 午年の巻 その壱@お江戸両国亭

2014/03/21(金・祝)18:00 お江戸両国亭

「道具屋」立川笑笑
「権助魚」立川こはる
「お見立て」桂宮治
(仲入り)
トーク
「看板のピン」桂宮治
「不動坊」立川こはる

 笑笑さんの高座を聞いたのは初めて。明るい高座で好ましい。頑張ってください。

 今年のゲストである宮治さんはいつもの調子。安心する。

 こはるさんはどうしたのかな。明日の築地に期待。

粋歌のあの新作この新作@落語協会

2014/03/20(木)18:30 落語協会二階

「保母さんの逆襲(林家彦いち作)」
「二人の秘密」
(仲入り)
「影の人事課」

 粋歌さんを生で体験するのは二回目。前回は2012年8月道楽亭。立川こはる,桂宮治,三遊亭粋歌,古今亭志ん吉の四人の会だった。
 暫く前から聞き始めていたこはるさんと,その頃落語会で時々顔を合わせていた人が強く推していた宮治さんが出演するということで出かけた。
 その会で私はまんまと初見の宮治さんにはまったのだったなぁ……

 その時のネタは「人祓い神社」。題材に苦手な要素があり楽しめなかった記憶があるが,ここ最近,前述の知り合いがご自身のブログで粋歌さんを強く推している。影響され過ぎとは思うが気になるので,五月に開催される粋歌さんの独演会を予約した。
 その前に一度くらいは見ておきたいと思っていたら18日の「らくごくら」で,昨年三月収録の高座が放送された。「銀座なまはげ娘」。

 続いて,20日にゲリラ的に開催されたこの会。
 不安な気持ちで初めて落語協会の建物に入る。落語協会に入るのが不安なわけではなく粋歌さんを聞くのが不安。少ない体験から粋歌さんの話はせつないのではないかという印象があり,私は「せつなさ」に弱い。

 時間調整しつつ開場時刻ぴったりに到着で一番乗り。徐々に人が増え開演時には結構な入り。例の方や他の顔見知りもおられたのですが「せつなさ」に怯える私は独り開演を待つ。

 いざ,開演。会場と私の間に温度差がある。会場がドッとわいているタイミングで笑えない。期待し過ぎからの期待外れとかではなく,私の身構え過ぎ。「せつなさ」に腰が引けている。

 「保母さんの逆襲」で少しほぐれたところに,会場からのリクエストにこたえる形で「二人の秘密」。

 先妻が亡くなったのは30年近くも前のことなのに,ふと未だに片付かない気持ちの乱れに躓いてしまうことがある。
 沢田知可子さんの「会いたい」みたいなあからさまな表現であれば避けられる。ちょっと視点は違うけれど柳家喬太郎さんの「ハワイの雪」ならば嫌いな話として耐えられる。
 でも「二人の秘密」,これは駄目です。逃げられません。

 というわけで,身も心も硬化しつつ辿り着いた仲入りで体勢を立て直す。

 「影の人事課」は笑えた。けれど,何だか疲れたので,終演後に皆さんが会場の片づけを手伝う中,そそくさと会場を後にする。

 さて困った。私はよる年波で,涙脆くなっていることもあり「せつなさ」に弱い。滅法弱い。でも「弱い」=「嫌い」じゃない。酒に弱いひとが酒嫌いとは限らない。
 いっそ嫌いならば聞かずにすむけれど,素敵なせつない話は聞きたい。人目をはばからなくてよいのであれば,むしろ好きなのかも。

 素敵なせつない話には作り手の観察力と語り手の表現力が不可欠で,粋歌さんにはこの二つが備わっているらしい。(表現力は未だ未だ伸びる余地があると思うけど。)

 さても悩ましい今後の対粋歌さん対応はおいおい考えるにしても,先ずは五月の独演会だな。
 どんな演目になるかは判らないけど,おそらくどの演目にも「せつなさ」が潜んでいる。せつなさに浸れるようにメンタルを鍛えて挑みます。

第五回 談吉百席@サンライズホール

2014/03/08(土)19:00 東池袋サンライズホール(晴)

「たらちね」
「半分垢」
(仲入り)
「おせつ徳三郎」

 いろいろな女性の話。

 「たらちね」では序盤の「ふぐ」にはまる。談吉さんがバナナの皮を置いたところが見えたのに,まんまと踏んじゃったなぁ。

 清女さん(略)はゆったりとしたテンポの言い立てで「丁寧な言葉遣い」が際立つ。

 談吉さん自身も言及していたように,現代では判り辛いオチではあるけれど,だからこそ言葉の面白さ心地よさを感じられる。全く変えないというのもどうかと思うが,このあたりの談吉さんの判断が私にとって具合がよい場合が多い。

 「半分垢」のおかみさんは,前半で久しぶりに修行から戻っただんなの自慢を嬉々として並べ立てるが,度が過ぎたことを当のだんなに怒られ,後半は木で鼻を括るような表情・口調で前半とは真逆の説明。単純で極端な拗ね方が愛らしい。
 「馬を履く」という画が浮かんでこないが,腑に落ちなかったり辻褄が合わないままの方が面白いこともあるということです。

 仲入りでは五月公開予定の談吉さん出演の映画「ヨシナカ伝説~義仲穴」の秋原監督が「舞台挨拶付き上映会」のチケットを販売。結構売れていた様子。私も二枚購入。

 「おせつ徳三郎」のおせつと徳三郎は,前半では想像を超える罰に怯える定吉の台詞で描かれるだけ。
 後半は主に徳三郎の出番となるが,おせつは最後の最後にようやく登場。
 思いつめて心中という場面での浮世離れした台詞がおかしい。オチともいえないような終わり方だけれどいいね。あれ,思い出したらウルッときた。

 次回「第六回談吉百席」は6月7日土曜日。ますます楽しみ。

第九回 こはるパラダイス@のげシャーレ

2014/03/07(金)19:00 のげシャーレ

「転失気」
「花見の仇討」
(仲入り)
「一文惜しみ(五貫裁き)」

 いつもであれば仕事が終わってから駆けつけるので,18:30の開場ギリギリ着で最前列には座れない。
 やるべき雑事が山のように溜まり,休暇をとったこの日,結局他の用事が捗らないまま,それでも18:00頃に会場に入ったが,整理券番号は「24」。常連さん強いな。

 雪がちらつく寒い戸外から入った会場の暖かさにやられ,「転失気」で睡魔と戦うが,「花見の仇討」で持ち直す。

 眠かったからか,前半の二つの話はちょっと平板な印象。

 「一文惜しみ」は初めて聞く話。興味深く聞く。こんな時こはるさんの聞き取りやすい口調は大きな武器。面白かった。

 3月31日のブディストホールでは,また珍しい話を聞かせてくれるらしい。今から楽しみ。

「負けてたまるか!?」柳家喬の字 vs 桂宮治@道楽亭

2014/03/04(火)19:00 道楽亭

「松竹梅」柳家喬の字
「干物箱」桂宮治
(仲入り)
「蝦蟇の油」桂宮治
「もう半分」柳家喬の字

 お客さん少なめ。11人だったかな。

 高座にあがるや打ち上げ込みで評価してくれと訴える喬の字さん。いや,落語も(も?)面白いけどね。

 宮治さんの「蝦蟇の油」の言い立ては見事だった。が,馴染みの客ばかりだったからか中手も起きないというフワフワしたいい空気感。

 トリで「もう半分」を終えた喬の字さんが,これで帰ると暗いまま終わるからねぇと言ったからかどうか,お客さん全員が打ち上げに参加。
 喬の字さんはいきなりハイピッチでビールをあおりつつ,宣言通り打ち上げを盛り上げる。けれど,笑いをとる度に「何故それを高座で演らない!」と総突っ込みをくらう。
 そのうえ,「前回の打ち上げの喬の字さんはもっと面白かった。今日は突っ込み役が甘い!」とトバッチリで責められる宮治さんも好い面の皮。

 いやいや,面白かった。