『よこはま宮治展』@のげシャーレ

2014/02/26(水)19:00 のげシャーレ

「オープニングトーク」桂宮治
「子ほめ」桂たか治
「権助提灯」桂宮治
「花筏」桂宮治
(仲入り)
「七段目」桂宮治

 宮治さんから「破門になった弟弟子を見捨てたアオブダイ(抜粋)」と紹介され,師匠文治さんの出囃子で登場したかた冶さん。アオブダイというよりコブダイのような魅力的な容貌。
 「違うんです!!」と切り出し,破門にまつわる宮治さんの話の訂正に随分と時間を費やしたが,これが面白い。
 落研で優勝経験もある平成元年生まれ。達者なしゃべりでいやみも無い。まぁ,宮治さんとたか冶さんのどちらの言い分を信じるかとなれば(宮治さんの日頃の言動からして)たか冶さんだな。

 さて宮治さんの落語。
 「権助提灯」で旦那が「提灯の中の蝋燭に」を律儀に繰り返すところが妙におかしい。

 ネタおろしの「花筏」。サゲにかかって急に調子が変わり,客の台詞なのか誰の台詞なのか地の文なのかフワッと終わったような印象。最後だけ違う人の演出と入れ替えたみたいな感じだったな。

 「七段目」では,刀の封印を解くところがツボ。

 いや~,結局のところ今回も客席はほぼ埋まり,やっぱり宮治さんは面白かった。逆境を爆笑に変える力技もお見事です。でも,二度も逆境を招かないでね。

 一緒に見ていた妻も満足したようで,終演後は長者町で餃子を食べながら,面白かったね~と褒めたり褒めなかったり。

 次回の「よこはま宮治展」は8/25(月)の予定。

※私は仕事で早く並べないので,妻が17:30頃から並んでくれたが,それでも最前列ではなく二列目だった。これはしかたないが,前に座ったお客さんが吃驚するほどひっきりなしに前後左右に体を動かして,そのたびに私の視界を塞いでくる。なんだろう,嫌がらせかな?初対面だと思うけど。あのお客さんの後ろだけは避けることにしよう。

立川キウイ × 鈴々舎馬るこ 新作DVD「腐った果物」発売記念落語会@道楽亭

2014/02/20(木)19:00 道楽亭

「野晒し」立川キウイ
「シャンソン漫談」ひとみちゃん
「日本語学校の桃太郎」鈴々舎馬るこ
(仲入り)
「ブラック版たがや」立川キウイ
「鮑のし」鈴々舎馬るこ

 お客さんは10人ちょい超えたくらいだったかな。

 馬るこさんを生で見るのは三回目。

 キウイさんは,2011年7月19日,中野ZERO小ホールでの「立川キウイの真打昇進の会」から,お江戸上野広小路亭での「立川キウイの会」に半年ほど通ったが,職場がある新宿の道楽亭,ミュージック・テイト,レフカダなどでの他の人の会がメインになり,いつしか足が遠のいていた。久しぶり。

 名前を聞くのも初めてだったひとみちゃん。大須演芸場定例寄席レギュラーメンバーの「艶歌シャンソニエ家元」だとか。マシンガントークで有名らしいのだけれど,この日は比較的まったりした感じだった。おもしろかったな。

 あぁ,だめだ。落語のことをあんまり覚えていない。

 打ち上げは私を含め比較的年配のお客さんが三人。一人は馴染みらしい女性。もう一人の男性は数日前に初めてキウイさんの高座をみて「おもしろい」と思ってこの会に参加したとのことです。
 芸人さん三人と大須演芸場の話題でそこそこ盛り上がった。

 ところで,仲入りや打ち上げで当然のようにDVD「腐った果物」を販売していたのだけれど,一枚も売れていなかった。何だか流石だ。
 私は流れで買ってもいいかと思っていたのだけれど,それほど強くは勧めてこない。それに,どうせなら一枚売れるより一枚も売れない方が面白いかなぁと。

 その後,とある方のご好意でDVDを鑑賞した。キウイさんだけではなく,馬るこさんや快楽亭ブラックさんの高座。隠す気の無いモザイク処理や匿名で登場するゲストコメンテーターのインタビューなど,「立川キウイ」という存在に何らかの興味がある人には見所満載。お買い得かもしれない。

 それにしても,このDVDの内容に怒りもせずむしろ嬉々として宣伝するキウイさん。やっぱり何だか流石だ。

シェアする落語 第5回 瀧川鯉八@古石場文化センター

2014/02/15(土)15:00(前日の大雪のため一時間繰り下げ) 古石場文化センター3F第一和室

「それそれ」
「暴れ牛奇譚」
(仲入り)
「シェアタイム」鯉八×四家(主催)
「カエル」

 朝07:10,午前中の仕事のために家を出る。前日からの雪で横浜の自宅周辺は越後産まれの私が緊張感を強いられるレベルの雪道。昼過ぎに妻と合流して会場に向かうつもりだったが,自宅最寄駅までの起伏の激しい雪道は妻には過酷と私判断で一名キャンセル。

 都内の積雪はいくらか少ないが,雨でぐちゃぐちゃの状態で始末が悪い。

 会そのものは当初予定の14:00から一時間遅れでの開催が決定。主催者にとっても難しい判断だったと思う。少なからずキャンセルも出たでしょうが,前日当日の申し込みもあったようで,結果的には満席に近かったのではないか。

 私の鯉八体験は六回目,生で聞くのは四回目。

 始めは2011年のNHK新人演芸大賞。他の出場者も演目も何も覚えていないが,「歪んだ人がすべった」という強烈な印象だけが残った。(後日,ご本人には「歪んだ人が」を除いてお伝えした。)

 ちなみに「シェアする落語」の主催者・四家さんもこの放送きっかけで鯉八さんに注目したようです。やはり,見る目が違う。

 その後,四家さんのブログでの評価の高さに,正直「エッ,あの人だよね?」と半信半疑。というか三信七疑くらい。四家さんは信頼するにしても好みの問題もあるし。

 「暴れ牛奇譚」を初めて聞いたのは,鯉八さんでではなく去年九月横浜での桂宮治さんの独演会。強烈だった。宮治さんにとって初めての新作挑戦。鯉八さんが自作をご自身以外に許可したのも初めてだと聞いた。
(あぁ,そういえば宮治さんを聞くようになったきっかけも四家さんだったのだ……)

 そして昨年10月,柳家ろべえさん,立川談吉さんとの三人会でようやくご本人の「暴れ牛奇譚」を聞いた。不覚にもサゲで吹いてしまった。
 その後宮治さんとの二人会で二度拝見し。この日が初独演会。鯉八さんは独演会自体が珍しいようです。

 この日の演目「それそれ」「カエル」は三日前のレフカダの二人会で聞いたばかりでしたが,「またか」ではなく「きたか」となる面白さ。

 仲入り後の演目は直前まで迷っていたようで,私個人的にはシェアタイムでも話題になった,全く覚えていないNHK新人演芸大賞で演じた「雨傘和尚」が是非聞きたかったのだが,またいずれどこかで……

 鯉八さん。独演会でも面白かったなぁ。私にとって聞く機会の少ない新作のみならず,知る限りの落語の枠の中でも,最も面白い部類の落語と落語家さんに出会ってしまった。どうしよう。もうそろそろ,時間的経済的に追いきれなくなっているのに。

 次回のシェアする落語も危険な香りがするんだ。

「どうらく息子」寄席@深川江戸資料館

2014/02/13(木)18:45 深川江戸資料館

「平林」春風亭一力
「弥次郎」桂宮治
「初天神」春風亭ぴっかり☆
「口入屋」林家時藏
(仲入り)
「トーク」尾瀬あきら(「どうらく息子」作者)×林家時藏
「死神」柳家三三

 漫画「どうらく息子」に因んだ会で,時藏さんが主催。何度か開催されたようですが,この日が最終回。
 協会メンバーに,独り芸協の宮治さんという顔付けが面白いのと,三三さんの出演に惹かれて出かけてみた。
 宮治さんもこの漫画に取材協力で名前が載っているらしい。監修が三三さん。

 今年二つ目にあがる前座の一力さんは,明るく聞きやすく良かった。
 前座さんも充分に面白いなぁと思ったが,次の宮治さんの面白さは段違い。二ツ目二年生,前座さんとは違うということか,宮治さんが特別なのか。
 続くぴっかり☆さん,時藏さんも面白く,仲入りをはさんでトーク。トリで三三さん。

 三三さんを生で見るのは二回目。前回は二年前の三月「渋谷に福来たるSPECIAL」。他に桃月庵白酒・柳家喬太郎というスター揃いだった。前座は入船亭辰じんさん。今の小辰さん。

 その時の三三さんの演目は「明烏」。一緒に見た妻が,時次郎を吉原に送り込もうとする大旦那をにらむ奥さんの顔が気に入って,今でも真似しようとする。全然出来ていないけれど。
 その後はテレビで時々拝見するばかりだった三三さん。久々の生を楽しみにしていた。

 三三さんの高座が始まってから入場したお客さんがいたようで,軽~く弄る。宮治さんの弄り方とは趣きが違う。笑いの量や密度で言えば宮治さんの方が勝っているかもしれない。

 でも話が進むうちに,私は三三さんの世界に捕り込まれ,そんな状況でぼんやり別の事を考える。

 最近はお気に入りの二ツ目さんを聞く機会が多く,特に宮治さんは常に間違いなく面白い。でも,前座さんと宮治さんが違うように,二ツ目の宮治さんと真打 の三三さんの間にも明確な差がある。当たり前のことだし,この駄文が宮治さんの目にとまっても怒られることもないと思う。

 話はここから。私はそのとき前日のレフカダで鯉八さんを評した宮治さんの台詞を思い出た。
「三三師匠なら爪痕の付けようもあるけれど,鯉八さんはどうしていいか判らない。」
 これは,自分とは違う方向で模索している鬼才瀧川鯉八さんへの賛辞だ。
 同時に,タイプは違うといえど,同じ古典の道で遥かに先を進む三三さんに対して,現時点では及ばないという自覚と,それでも爪痕くらいは残すという気概が溢れ出た台詞だったんだと,このとき改めて思い当たった。

 私にも判る三三さんの凄さ。いわんや宮治さんにおいておや。
 三三さんの死神に惹かれながらの妄想。宮治さんが大きな壁に爪をたてて攀じ登っている。頂は遥かな高みで,その壁はなお日に日に高さを増していく。登れ ば登るだけ遠ざかる頂。いつか,その頂に手がかかっても,その向こうにはまた別の更に高い壁が幾重にも立ちはだかっている。
 そんな画を思い浮かべたら胸が痛く,目頭が熱くなってしまった。厄介な途に踏み込んだものだなぁ。

 まぁ,そんな苦しみは演者さんにまかせて,こちらは余計なことを考えずに,ただ笑いたい。そんなときこそ宮治さんの落語がいい。
 26日(水)は横浜市民としてははずせない「のげシャーレ」での宮治さんの独演会。妻と一緒に出かける予定。
 前回は「暴れ牛奇譚」で驚かせてくれた。今回は何を演ってくれるかな?

※同日,東京ドーム公演を予定しているストーンズには,昨年の「独演会ですゥ 秋」とのバッティングで痛い目にあったポールが忠告してあげたらいいのに。

れふかだ落語会 鯉八・宮治二人会 第三回@レフカダ

2014/02/12(水)19:00 レフカダ
「花色木綿」桂宮治
「それそれ」瀧川鯉八
(仲入り)
「かえる」瀧川鯉八
「明烏」桂宮治

 宮治さん登場。客席にお馴染みのTさんの姿は見えなかったが,いつもとは違う声での「戸越銀座」の声がかかる。
 続いて登場の鯉八さん。床屋に行ってきたとのことでしたが,右のモミアゲが跳ねていたのはわざとだろうか?

 お二人の触れ幅の大きな世界観に翻弄されつつも,滅茶苦茶面白い会だった。

 打ち上げに残ったのはオッサン二人。演者を交えてオッサン四人でどーするんだと思っていたら,妙齢?の美女二人が舞い戻って参加。
 他の落語家さんの噂話やら,バブルの話やら,AVの話やら。

 鯉八さんはこの日で三回目だったけど,やっぱり面白い。土曜日の「シェアする落語 第5回」がますます楽しみ。