『よこはま宮治展』@のげシャーレ

2013/09/24(火)19:00 のげシャーレ

オープニングトーク
「がまの油」
「暴れ牛奇譚」
(仲入り)
「お見立て」

 我々夫婦は最前列の右サイドに陣取る。音助さんには申し訳ないが,話が始まると慢性の不眠で逆に常に眠い妻が船をこぎ始める。後ろの席の人が気になるだろうなぁと思っていたが,宮治さんの「がまの油」が始まると,目が覚めたようだ。恐るべし。

 「暴れ牛奇譚」は,瀧川鯉八さん作の新作落語。最近頓に評判の高い鯉八さんですが,残念なことに私は未見。「暴れ牛奇譚」も面白いという評判ばかりが耳に届いていたわけですが,幸か不幸かオリジナルより先に宮治さんで聴くことになるとは。オリジナルを知らないままに聴いた「暴れ牛奇譚」でしたが,プロローグとエピローグに挟まれたメインの話の繋がりが謎のまま放り出され,一瞬呆気に取られるが,非常に面白かった。

 ネタ下ろし二席が終わり,ホッとしたからでもないでしょうが「お見立て」では残念な言い間違いがあり,更にご本人も触れざるを得ないようなすっ飛ばしもあったりしたが,勿論それも面白く処理してくれた。
 聞き間違いでなければ「がまの油」の言い立てでも微妙な言い間違いがあり,その一つ一つを穿り返すつもりはないが,人の失敗に目ざといという因果な性格のため,私は言い間違いには敏感だ。

 宮治さんの場合には,本人にも制御できない仕事量がその背景にあるのだと思う。仕込や練習が間に合わないのではないだろうか。おそらく今はそういう時期なのだ。踏ん張って欲しい。

 話は変わるが,私は永く職人さんと関わる仕事をしてきた。「手間隙を惜しまない」というのは言われがちな職人の理想だが仕事となるとそうは行かない。どの部分の手間隙を省くかの鬩ぎ合いになる。完璧は無い。常に手抜きと見切りが要求される。どこかの時点で完成としなければ,商品として客に出せない。
 「速さが金になる。」というのは私の師匠の金言だ。仕事が速ければ商品を沢山作れるのは当然だが,それだけではなく,時間的な余裕を作れる。最低限の仕事をこなした上で品質に時間を注ぎ込めるようになる。

 宮治さんはおそらく落語を仕上げるのが速い。何度かネタ下ろしを聴いたが例外なく面白い。こちらも「ネタ下ろし」だからと身構えてハラハラしながら聴き始めるが,最後にはただただ笑っている。初回から充分に売り物として提示してくれて,少し演り込めば更に面白さが増す。上手さが前面に出てこないのは,上手さの何よりの証拠だ。

 宮治さんが落語芸術協会所属というのは象徴的。「芸」の「術」に秀でているのだ。もしかすると本人にとってはある意味で不運かもしれないが,リアルタイムで聞ける私にはこの上ない幸運。
 「暴れ牛奇譚」のような話が出来るのであれば,グンと守備範囲が広がる。今は辛いかもしれないが,ここが正念場。永く続く正念場かもしれないが何とか乗り切っていただきたい。

 ご本人が心配していた集客面も,当然のようにほぼ満席で,次回の「よこはま宮治展」も年明け2/26日に決まり,横浜は大きな損失を免れた。その前の11月は日本橋社会教育会館。4月には国立だ。クニタチではなくコクリツだ。

 我ながらまとまりの無い文章だがとにかく嬉しい。文句ばっかり書いているようだが,本当に嬉しい。
 とてもよい会だった。終了後に妻と二人で近くの餃子屋に寄り美味しいビールを飲んだ。

こはるパラダイス@のげシャーレ

2013/09/20(金)19:00 のげシャーレ

「平林」
「提灯屋」
(仲入り)
「寄合酒」
「岸柳島」

 トークタイムでは客席から随分と積極的に声が出ていたが,随分と品の無い発言があったな。

 話は四席とも良い出来。

 仲入りで流れた「やまがたすみこ」さんの歌が懐かしすぎる。
 それと,「平林」を神楽の芸人さんに教えるとかでご自分で録音されていたのですが,メディアがカセットテープ。何とはなしにこはるさんらしいと言えなくも無いが,相手も対応出来るのか。私はカセットテープで音源をいただいても対応出来ないな。