立川キウイの真打昇進の会@中野ZERO小ホール

 今月は,柳家小三治,立川談春に続く三回目の落語会。

 「立川キウイ」という落語家さんに関しては,他の落語家さんのまくらなどでのいじられぶりとTwitter+時々ブログ情報と著書「万年前座」を読了しただけの予備知識で,「Everyday、カチューシャ」を聞き込んで出かける。

 家元立川談志の口上も予定されていたものの,これは最近の家元の体調等を勘案すると無いと思っておいた方がよく,結果,やっぱり来られないと。しかし,豪華な顔ぶれであることは間違いなし。

「十徳」立川こはる
 以前,談春さんの会の開口一番で拝見して以来の二度目。いいですね。結局,この日唯一の(正統)古典。
「親の顔」立川志の輔
「人生が二度あれば」春風亭昇太
 人気実力共にトップクラスのお二人。生で拝見するのは初めてですが,やっぱり面白い。昇太師匠の軽さは至芸です。
仲入り
口上
 立川左談次・(立川キウイ・)春風亭昇太・立川志の輔
 いじられまくり。

「読書日記」立川左談次
 こちらも,もちろん名前は存じ上げておりますが,初めて拝見する高座。書籍「通になりたい(林家こぶ平著)」を読み上げつつ突っ込みを入れる。正蔵師匠受難。
「芝七」立川キウイ
 この日の主役登場。
 「芝浜」と「文七元結」を併せて「立川談志」を登場させるという新作?改作?怪作?
 「自分にしか出来ない噺」をとキウイさんは言う。それは重要なことだとは思うけれど,誰でもそうじゃないか。談春さんの古典にしても談春さんにしか出来ない落語。
 しかし,独自性だけではなく談春さんの落語は間違いなく面白い。
 キウイさんの落語は形式上の独自性は抜きん出ていても,面白さでいえば談春さんには届かない。これは,私の好みの問題でもありますが。
 「古典落語の技術でいったら(前座の)こはるの方がうまい」とおっしゃったのはキウイさんご自身ですが,その通りと言われかねないので笑い辛い。
 じゃぁ,もう立川キウイを聴きに行かないかというと迷うところ。
 紆余曲折あったようですが,結果的には家元が立川流真打として認めたという事実。「芝七」のおひさが「べろべろになっちゃえ」をあえて言い直すところ等の面白さ。それと,立川キウイという存在に対する私的なねじれた憧憬と嫉妬。
 言い間違いかあえてなのか,左談次師匠が志の輔師匠を「一門の屋台骨を背負って歩く」と評し,昇太師匠に「それじゃ行商だよ!」と突っ込まれていましたが,落語協会や落語芸術協会とは異なり,きっちりとした組織に個人が属するというよりも,絶対的な家元を中心に,夫々が何かを背負うことで成り立っているように見える立川流。
 その最高峰である真打の一員として,単なる怪作ではない快作・魁作を聴かせていただければ見っけ物。まだまだチケットは高騰していないので,何度か追って見ようかと思います。

立川談春独演会@横浜にぎわい座

二人。
「堀の内」立川春太
「宮戸川」立川談春
「短命」立川談春
(仲入り)
「人情八百屋」立川談春

 開口一番,春太さんの「堀の内」の後で奥様がポツリと「この前(古今亭)志ん朝さんの堀の内(の音源を)聞いたばかりなんだよね」と。
 イケネー,そいつぁーイケネー。古今亭志ん朝と比べてはいけない。春太さん,しっかりやってました。
 談春さんの噺は,アレンジや筋に腑に落ちない点もあるのですが,上手さで聞かせます。説得力があるというのか,絵の上手い漫画家さんみたいなもの。違う?

柳家小三治独演会@横浜にぎわい座

二人。

「阿武松」柳家〆治
「お化長屋」柳家小三治
(仲入り)
「かんしゃく」柳家小三治

 「まくらの小三治」の異名に違わぬまくらの長さ。「まくら」の範疇を超えた一つの演目です。